前回のあらすじ。
ジブラルタルの海底深く眠る沈没船。
偶然その地図を手に入れた一行は、初めてのサルベージ作業に挑む。
紆余曲折はあったものの、なんとかセビリアの港まで曳航することができた。
そして乗組員達が固唾をのんで見守る中、単身船内調査へと赴くうちのむすめこと船長。
そこで果たして何が待ち受けているのか……!
てな具合に脳内ナレーションを流しつつポチっとな。
うーん、とりあえず。
雰囲気はじめじめ。
BGMは水滴と、かすかに低く唸る様なノイズのみ。
…………記念に踊っとこ。
足音だけが虚しく響き渡った(´д`;)
とりあえず入り口付近には目ぼしいものは無いなぁ。
奥に進んでみるか……。
そして、たどり着いた船室の一番奥。
いかにもといった風情で鎮座する、2つの苔生した宝箱。
思わず小躍り。
よーし早速開けてみるっ。
真珠を64入手しました!
名工の大工道具を33入手しました!
おおっ!
常時財政難の我が船にはありがたや~ありがたや~。
どこのどなたか存じませんが、大切かつ有意義に使わせて頂くで……ん?
ギシッ
ふと、入ってきた扉の方から足音。
委員長か、それとも他の船員か……。
いや違う、足音と共に伝わってくるのは、微妙な殺気。
全身に緊張が走る。
こちらは銃一丁のみの軽装だ。
しかもここは袋小路。逃げ道も、身を隠す場所も無い。
覚悟を決め、弾薬を装填する。
そしてついに、人影が船室へと踊り込んできた!
野盗Lv5 が あらわれた!
野:「おぅおぅおぅ、命が惜しけりゃそのお宝全部置いてきな!」
…………。
野:「どうした、もしかして俺の迫力にびびって小bバン!
野盗Lv5の分際で片腹痛いわ!バン!痛いわっ!バン!痛いわっっ!!バン!
身の程を知れっ!!!バン! バン! バン!
港では、カルディナ達が待っていた。
空には、カモメ達が舞っていた。
カ:「あ、船長おかえりなさいませ。どうでした?」
おー委員長~、結構な収穫だったよー。
そう言って、委員長に持ち帰った品々を手渡した。
カ:「まぁ、すごいですね船長! これだけあればしばらく……あら?」
と、不意に委員長が怪訝な顔をして、手にした財宝と自分の手のひらを交互に見た。
カ:「船長、これ……血?」
……あ゛
カ:「こんなに、しかもまだ温かい……中で何かあったんですか!?」
いえ、べつに、なにも。
カ:「まっまさか怪我していませんか!?」
いえ、べつに、どこも。
カ:「でもこれって何も無いはずは……わかりました、なら今度は私が船を調べてきます!」
あ、だめだめ中に入っちゃダメ!
カ:「どうしてですか、船長!」
だってその船、あと5秒で爆発するから。
カ:「え……」
ちゅどーん
カ:「あ……ぁ……」
そして、爆炎に包まれた船体は次第に崩れ落ち、
やがて再び暗い海の底へと還っていった。
カルディナは後に述懐している。
手に残る感触と、燃え盛る炎を背にした船長の姿、
あの時の光景は、何もかもがただ、紅かった……と。