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■第4章:最後のありがとう ―― 第11話
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「ふふ……」
「ほあ? 部長、どうしたんですっ?」
「ん? ああ、神原……またちょっとした思い出し笑いだよ。そういえば神原は陣内と幼馴染というが、それほど付き合いは長いのか」
「えっ!? つ、つつ付き合いなんてっ、ゆいとたっくんはまだそんな、あぅぁうぁー……」
「どうした、何をそんなにテンパっている? ……知り合ったのはいつ頃だ、という意味だぞ」
「あっ、え、えーっと、幼稚園に入る前からずーっといっしょですっ。家もお隣さんですからっ」
「そうか。……神原は良い幼馴染を持ったな。果報者だ」
「はいっ! って、どーしてそこでいきなりたっくんなんですかっ?」
「ああ。いや、さっき笑った原因が、陣内だったのだよ」
「あっ、もしかしてたっくん、部長になにかへんちきちーな事でもしたですかっ」
「はははっ。いいや、逆さ。陣内も大した奴だな、と思ってな」
「そういえば……部長は、もしかして……昔たっくんと会ったことが、あるんです、か……?」
「……うむ。あれは小学校の頃だ。ちょっとした経緯で、陣内に鉄棒を、逆上がりを教えたことがあってな」
「……」
「その時も、とてつもない根性で鉄棒に挑み続けて、ついにものにしてくれた。まさか、あの時の少年とこの部で再会するなどとは、夢にも思ってはいなかったがな。事実は小説より奇なり、とはよく言ったものだ」
「そ、そう、なんですかぁ……」
「ふふっ……本当に陣内は大した奴だよ。確かに、朴念仁でぶっきらぼうな雰囲気もあるが、その実周りへの配慮を忘れない。面倒臭がりに見える振る舞いもするが、しかし胸の奥には強い意志と情熱をしっかり宿している……私も、そんな陣内の熱に当てられたのかもしれんな」
「熱、ですか……?」
「この前……私が休んだ日な、陣内に叱られたよ。グラティアの事で、部員を信じないでどうするのだ、もっと私の力にならせてくれ、とな」
「……」
「もっと信頼していいのだ、頼っていいのだ、と……そう、まだまだ自分の力だけでなんとかしようとしている私がいる、というという事に、気付かされた。思えば、あの鉄棒の時といい、陣内には大切な時に、大切な事を教えられてきた気がする……何か、特別に強い縁が、あるような気さえするよ」
「部長は……」
「……ん? 何だ、神原?」
「……いえ、なんでもないですなんでも探偵団っ!」
「? 鑑定なら知ってはいるが……」
***
数日後、花嫁衣装が仕上がった。
...To be Continued...
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