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 ・オリジナル小説 『うたいしこと。』
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 ・『ストーリー・オブ・ウォーターフィールドサウスノース(水野南北物語)』
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記事一覧

ストーリー・オブ・ウォーターフィールドサウスノース(15)

 前回の続き。



 快刀乱麻の活躍で事件を解決に導いた南北くん。

 評判を聞きつけ、彼の元にはいよいよ、大勢の人々が集い始めました。

 その内訳は、大別して二種類。



 一つ目は、南北くんの鋭い観相を求める人々。


(-◎∀◎)「南北先生の観相術は、単に当たるだけやおまへんでぇ! もう死ぬしかないほどの凶相を、小兵が巨魁を転ばすみたいにコロっと良運に変える、生きる道を示してくだはる、まさに『天の祖法』なんや! 現にワテなんか――」


 という、喜兵衛の心底熱のこもったプロデュースも追い風。
 南北くんの住まう喜兵衛の別邸は、来る日も来る日も観相依頼の人々でごったがえすようになりました。

 その中には、単に観相を求めるように見せかけて、


( `∀´)oO(こいつが噂の水野南北かいな。どの程度の実力か知らへんが、どうせ誇大広告に決まってまんで)


 と、観相学論議をふっかけてくる同業者、なんてのも時折混じっていました。
 しかし、ぶつけられる問い一つ一つに、明快で的確、時には目から鱗の落ちる解答を示し、
 極道仕込みの鋭い舌鋒も加わって、南北くんは挑戦者をことごとく返り討ちにしてゆきました。

 それもそのはず。
 当時日本の観相学の本流は、いずれも中国などから渡ってきた諸々の相学書を翻訳しただけのものばかり。
 しかし、国が変われば人も変わり、風土も気候も風習も、習慣も考え方も違えば、必然的に人相の現れ方も異なってきます。

 つまり、『「相」そのものが違う』にも関わらず、
 日本の風土、日本人に合わされていない、「日本独自」ではない観相学だったのです。

 一方、南北くんのそれは違います。

 人間の一部分だけではない、頭のてっぺんから爪先までに留まらず、
 立ち姿座り姿歩き姿、正面から背後から横っ面、声や息遣い……
 「にんげん」という、立体的なその人「そのもの」を、ありのままに「観」た上で、導き出されるものなのです。

 海常師匠譲りの、千人、万人の観相を通じた、まさに血みどろの実学に基づいた、実証の塊。
 南北くんレベルからすれば、上っ面な知識をなぞっただけの、まさに木を見て森を見ないような同業者など、足元にも及びませんでした。

 ともあれ。そうこうしている内に、


(;`∀´)「こらアカン! 水野南北、こいつぁホンモノの中のホンモノや!」


 と、同業者の間でも、その評判は確固たるものに。

 いつしか人々は、南北くんを『当代随一の観相家』と評すようになり、
 その類まれなる観相の技を指して、こう呼び表わしました。


 『黙って座れば、ぴたりと当たる』



 さて。
 次の、二つ目。

 それは、南北くんに教えを乞い、更なる観相の高みへと登らんとする人々、です。


(  ̄д ̄)「俺も昔、こんな失敗をしたことがある」


 観相の傍ら、南北くんは屋敷にひしめき合って座る弟子たちのために、日々講義を開いていました。


(  ̄д ̄)「ある人に、このままだとお前さんは仕事の出張中に転んで大怪我をするから気をつけろ、って観相したんだ。それで確かにその人は転んで大怪我したんだけど、それは出張先なんかじゃなく、自分ちの軒先だった。後で知ったんだが、その人の職は出張なんて考えられないものだったのさ。転んで怪我する、だけ言ってれば大当たりだったのに、欲をかいて余計なもんくっつけちまったから、目が曇っちまったってわけだな」

( ・_・)( ・_・)( ・_・)「ふむふむ」

(  ̄д ̄)「そもそも観相ってのは、要は『天と地と、宇宙と自分とを一体化して、我を離れた心で行う』ものなんだ。その人の上っ面だけを見るんじゃなくて、その人という宇宙を『観る』ものなんだ。
 だから自分の才能で相手の相を観てやる、なんてのは、ただの傲慢以前に観相にすらなってない、エセ観相家のやるこった。
 事実、『百発百中させて世間を驚かそう』なんて意識が奥底にあると、知らず知らず心が浮ついちまって、絶対に大失敗をやらかす。そんな状態で「あるがまま」の相を見極めるなんてお釈迦さんでも土台無理な話なんだからな。どんな観相をする時も例外なく、このことを心に刻んどかないとダメだぜ」

( ・o・)( ・o・)( ・o・)「なーるほどー」


 南北くんの講義は、極めて明快でした。
 が、それは弁舌技術によるものだけではありません。

 むしろそれ以上に。
 格式ばった門派・流派にありがちな、「これが秘法! これぞ奥義!」などと勿体ぶるようなことが一切なかったのが、非常に大きな要因でした。

 自ら血と汗を流して学び、積み上げた相学の技と知識全てを、まるで惜しげもなく弟子たちへと開けっぴろげにしたのです。

 そこには、観相を通じて自らを育ててくれた無数の人々への恩返し、という意味合いはもちろん、
 かつて三日三晩、不眠不休で自らの観相学を包み隠さず叩き込んでくれた海常師匠の影響があったのも、想像に難くはありません。

 南北くんは、弟子たちにこうも言いました。


(  ̄д ̄)「観相を学ぶなら、まずは師匠に学ぶんだ。師匠の教えをしっかり会得し、自分のものにして、それから本を読む。そうすれば、既に『師は己の内にある』状態だから、上っ面の知識に惑わされることはないし、問題にもならないぜ。それから後はひたすら観相、観相、観相、千人万人を通じた実地の観相、絶え間ない観察を通じて、自分自身で天地と宇宙の理を明らかにしていくしかないんだからさ。そもそも、本といくらにらめっこしてたところで、『人相』を見なきゃ『観相』にならねーじゃん」


 事実、南北くん自身が無学の身。
 にもかかわらず、海常師匠の教えと導きに触れ、徹底的な実学を通じて、今こうしてあるのです。
 迫真の講義は、居合わせた弟子たちの心を――何度となく、強く打ちました。


( ・o・)「ところで、先生」

(  ̄д ̄)「ん、何だ?」

( ・o・)「先生って、背は低いし顔つきも悪党だし、どう見てもこれ以上ない最悪の相ですよね」

(  ̄д ̄)「あけすけに物言う奴だなおい。全然否定できねーどころか思いっきり事実だけどさ」

( ・o・)「なのに、先生はこうして素晴らしい先生として私たちの前に立ってます。これはどういうことなんですか?」

(  ̄д ̄)「そいつはまさに、水野南北っつー人間の、外っ面だけにとらわれて見た結果ってこった。誰しもそうだが、俺は森羅万象の中に生じて、天地宇宙と渾然となって生きてるものなんだ。今ここで、まさにそうあるんだ。だから俺たちは根本的に、乏しいことも、老いることも、死ぬことも知らない存在ってことなんだ。それをわかっていると、誰しもが知らない内に、内側に良相を備えるようになるのさ。
 『無相の相を相として、行くも帰るも余所ならず』って禅でも言ってるだろ。
 いいか、『相は無相を以って最高の相とする』んだぜ。
 本当の『良相』ってやつは、形が無いし、どんな形にもなるんだ。風や水のようにな。
 だからそいつは、見よう見ようという心根じゃ、観ることはできないんだ。
 さっきも少し言ったが、観相する時には、その「ヒト」を見るんじゃなくて、彼を取り巻く万物、天地、宇宙の声を静かに受け入れるこった。そうすれば、勝手に彼という「にんげん」が浮かび上がってくるからな」

( ・o・)( ・o・)( ・o・)「なーるほどー」


 ところで。
 その内、弟子たちの間から、
「こんな意義のある講義を、後世に書き残さないのは勿体なさすぎる!」
 という声が上がり始めます。

 しかし、講義に使う邸宅の一室では、弟子たちがすし詰めで、とても筆を走らせるスペースなどありませんでした。
 そこで弟子の内、八助をはじめとした何人かが代表して「書記係」となって南北くんの講義を書きまとめることとなりました。

 そうして生まれたのが、

 『南北相法』

 と題され、後世の観相学に多大な影響を与えることとなる書、
 その前編にあたる全五巻である、とされています。



 ……とまあ、観相家として大成功街道まっしぐらの南北くん。

 実はこの頃、恋女房を迎えます。
 おかげさまでプライベートでも充実した時期を迎えた、

 ――かと思いきや、しかしそれは最初の間だけ。

 ラブラブだった初めての妻は、半月も経たないうちにだらけて一切家事もしなくなり、堪えきれず注意すれば逆切れして殴りかかってくる……という具合に、怠惰で粗暴な本性を露にし始めたため、


(; ̄д ̄)「これじゃ腰据えて観相なんてできやしねー!」


 堪らず南北くん、スイートホームの皮をかぶったキリングハウスから飛んで逃げ出したりしました。


 一説には、南北くんは生涯にわたり、なんと十八人の女性を妻にしたと言われています。
 一度にではなく、結婚しては別れ、また別の女性に惚れては結婚し、を繰り返した結果です。

 しかも滑稽なのは、その全員が全員、ワガママ極まっていたり自堕落だったり乱暴者だったり性根が曲がっていたり……もれなく筋金入りの悪女揃いだった、という徹底した女難っぷり。

 当代随一とされるほどの観相の腕をもってすれば、そんな女性たちの相を結婚前に見極めるなど本来造作もない……のですが、そこは女好きで惚れっぽい性分の南北くん。
 色恋にのぼせ上がって目がくらみ、祝言上げたはいいけれど、そこで冷静になってからようやく妻の「相」に気付く、というテンプレート。
 相手の悪相どおりの言動に、ハッと我に返った時には既に遅し。後の祭り。その繰り返し。

 それでも懲りない自分を皮肉ってか、同じように悪妻で悩む弟子との、こんなやりとりもあったほど。


(;-_-)「先生。先生ほどのお方が、どうしてご自身の妻とされる女性の相を予め見抜けないのですか」

(; ̄д ̄)「ハップル宇宙望遠鏡でも、1センチ先で飛ぶハエは見えないものさ……」

(;-_-)「哀愁振りまきながら開き直らないでくださいよ。ぶっちゃけ私は神様に今のどうしようもないDV妻を可愛くて気立ての良い素敵な嫁とトレードしてもらって毎日毎晩キャッキャウフフしたいんです……」

(  ̄д ̄)「正直だなおい。ま、けどさ。結婚したから幸せ、金が名誉が名声があるから幸せ、何かを得たから幸せってわけじゃねーだろ。実際いろいろ観相しててもさ、高学歴で一流企業に入ってベンツと都内の一戸建て買って何不自由ない暮らししてても、心労やら不安やら心配にまみれて、世の中に恨み言ばっかのたまう救いようもなく不幸な奴だっている。逆に貧乏で五体不満足でも、幸せな人はいるんだ。
 あのさ、幸せってのはもっと、足元より更に近いとこにあるもんさ。
 だからなんつーか、見方を変えようぜ。伴侶との良縁に恵まれないってのは古今東西、一芸を極めるために天がくれた良相でもあるんだから……まあ、お互いめげずにいこうや。酒でもおごるぜ? っつーかDV被害受けてんならまず警察行くか別れろよ。世間体だの生活設計だのぐだぐた考えてそこに甘んじてる方が不幸だぞ?」


 という言葉のとおりに。
 南北くんは己の観相の道を、その頂上と向けて更に邁進し続けていくのですが、それはこの後のお話にて。

 ……ときどき、色ボケしながら。


(; ̄д ̄)「うっさいよ色ボケゆーな!!」


 つづく。



 次回、ナンボククエスト第十六話、
「金は天下の回りもの、縁(¥)も天下を廻るもの」
 をお楽しみに。あんまり嘘でもない。

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ストーリー・オブ・ウォーターフィールドサウスノース(14)

 さーてやっとこさお待たせしました。

 ナンボククエスト喜兵衛大ピンチ編・後編でございます。


 ではでは能書き抜きで早速、前回の続き。


 ~・~・~


(=_=`)「……では師匠、かの片利なにがしとやらは、詐欺師でござると?」


 自宅でもある喜兵衛の別邸で、南北君は八助の問いに軽く頷きました。


(  ̄д ̄)「ああ。巧妙に取り繕っちゃいたみたいだったが、俺の目はごまかせないよ。典型的な詐欺師の相をしっかり備えてやがった。ありゃおそらく侍なんかじゃないな」

(=_=`)「そうだったのでござるか。拙者には全くわからなかったでござるが……よもや喜兵衛殿はその相に気付いたがゆえに?」

(  ̄д ̄)「ああ。偽物って鑑定結果で喜兵衛さんも酔いが醒めたんだろうな。冷静に思い返して、あの男の相に気付いた。……だから、寝込んぢまったんだなぁ……」


 そう。
 あの日から三日が過ぎ、一週間が過ぎても、先兵衛は用立て金の返済に姿を現しませんでした。

 そして、まんまと騙されたと悟った喜兵衛(◎∀◎-)は、
 それ以来、布団をかぶって部屋から出てこなくなってしまっていました。


(  ̄д ̄)「どうもなぁ、大金を失くしたよりも、立派な武家の鏡だと心服してた相手に裏切られたってショックの方が圧倒的にデカイみたいだ。喜兵衛さんらしいっちゃらしいんだけどな……」

(=_=`)「奉行所に被害届は出されたのでござるか?」

(  ̄д ̄)「無駄さ。証文取ってねーんだもん。他に奴が詐欺師だっていう法的に有効な証拠もないし、たわけ者の与太話にて与り知らずの沙汰、で突っ返されて終了さ。あの騙りの詐欺べぇ、もとい片利先兵衛って奴もとっくにトンズラこいてるだろうから、追っかけてもまず捕まらないだろうな」

(=_=`)「喜兵衛殿、おいたわしいでござる……師匠、なんとかならないものでござるか」

(  ̄д ̄)「……俺もついさっきまでそれを考えてたところだ」

(=_=`)「さっき“まで”……? 師匠、まさか何か妙案でも?」

(  ̄д ̄)「ふふふふ……ところで八助、今回の件、どのくらい街中に話が広まってる様子だったか?」

(=_=`)「そこはさすがのナニワでござるな。『薬種の小西の旦那が、騙りの詐欺兵衛とやらに千両ころっと騙し取られた』と、今一番ホットなゴシップニュースとして街中に伝播してござる」

(  ̄д ̄)「なんか金額増えてる気がするが……ま、それなら好都合だ。八助、すまないがちょっくらひとっ走り頼む。えっとな――」

(=_=`)「――承知つかまつった。して、師匠はどうなさるおつもりでござるか?」

(  ̄д ̄)「俺は俺で段取り済ませに出かける。さて、喜兵衛さんにはもうとてつもなくお世話になってるんだ、ここらで景気よく一肌脱ごうじゃないか」

(=_=`)「無論でござる、師匠」

(  ̄д ̄)「さぁ始めるぞ八助。南北一座、一世一代の大芝居の開幕だ!」


 と、八助を送り出し、南北くんが単身向かったのは、街で一番人気の芝居劇団。

 実はここの座長、以前南北くんが銭湯や髪結いで働いていた頃に懇意になった、VIPの一人なのです。


(  ̄д ̄)「座長さん、実はかくかくしかじかで、こういう芝居なんてどうかなーと。シナリオとかはこんな感じで」

(=“゚ω゚”)「ふむふむぅ、ほぉうほう……確かにぃぃこれはぁぁスマァァッシュヒィィィィット間違いぃなぁぁぁぁっし! この手のぉぉネタはぁぁ鮮度が命ぃぃぃ、その話ぃぃ乗ったぁぁぁぞぉぉぉぁぁぁっ!」

(  ̄д ̄)「テンションたけえよ」


 こうしてあれよあれよと人気劇団の最新興行が組まれることに。
 途端、そのセンセーショナルな舞台内容が瞬く間に街中を駆け巡りました。


 ヒソヒソ…ΩΩ Ωヒソヒソ…

「聞いたか? 小西の旦那の詐欺話が芝居になるって話」
「ああ、しかも何やら初日に大胆なことやらかすらしいって聞いたんだがなぁ」
「それよそれ。なんでもな、その詐欺事件で本当に掴まされたニセ茶釜を、旦那役の役者が思いっきり叩き割るんだとさ」
「む? そいつぁつまり、『ホンモノの』偽茶釜をってことか?」
「おうよ。そうでもしないと小西の旦那も溜飲が下がらないんだろうさ」
「なるほどなぁ。こいつは見ものだぁ」


 たちまち初日の先行販売チケットは完売。

 以降の日程分も大盛況で、興行は始まる前から大成功となりました。

 もちろん劇団はウハウハ、そして……


(  ̄д ̄)「よしよし、うまくいった。これだけ話題になれば、あとは待つだけ……だな」


 南北くんが密かにほくそ笑む中、日は流れ……そして、


(=“゚ω゚”)「えぇい憎っくきぃ騙りぃめぇぇがぁぁぁぁっ! かよぉぉうな茶釜ぁぁぁっ、こうしてぇぇ、あっ、くれぇぇぇぇるぅぅぅぅわぁぁぁぁっ!」


 パリーン。


 クライマックスの舞台上、偽茶釜は喜兵衛役によりテンション高く叩き割られ……興行初日は無事、大喝采のもとに幕を閉じました。




 ……それから更に数週経ったある日のこと。

 喜兵衛の店に、ようやくあの男が姿を見せました。


(=゚л゚)「御免つかまつる。喜兵衛殿はおられるか」

(◎∀◎-)「あっ、こ、これは片利殿!? 一体今までどちらに!?」

(=゚л゚)「誠にあいすまぬ。あの直後、急に我が殿の命により江戸まで出張せねばならぬことになり、立替え金の返済も茶釜の引取りもできぬままでおり申した。諸々の事情で使いも出せず、とんだご無礼とご迷惑、誠に面目ない」

(◎∀◎-)「い、いやいやそんな滅相もありまへんがな……」

(=゚л゚)「そう申していただけると胸のつかえが取れもうす。では早速だが喜兵衛殿、例の茶釜をお持ち願えるか」

(◎∀◎-;)「え!? あ、いや、それが、その……」

(=゚л゚)「ん? 顔色がすぐれぬが、如何されたか? もしや喜兵衛殿、あの茶釜に何かあったとでも申されるおつもりか……?」


 静かに凄む先兵衛に、冷や汗をかいて言葉につまる喜兵衛。
 もはや茶釜は衆人環視の中で叩き割られ、既に現存しないのは周知の事実。

 喜兵衛、今度こそ絶体絶命――



 ――と思われたその時。



 ??「おうおう、そこのエセ侍さんよぉ」


 背後から飛んできた迫力ある声。
 思わず振り返った先兵衛の目に写ったのは、


(  ̄д ̄)「その茶釜ってのはこいつのことかい?」


 極道姿に長ドス携え、脇にくだんの偽平蜘蛛茶釜を抱えた――南北くん。


(=゚л゚)「な……な、それは……し、芝居で割られたはず、じゃ……」

(  ̄д ̄)「あっけなく自爆(ゲロ)ったなこのマヌケ悪党が」

Σ(=゚л゚)「ぐはぁっ!」

(=_=`)「誠に、師匠の仰るとおり、まんまと引っかかったものでござるな」


 そして、さりげなく店の奥からやってきた八助も、喜兵衛の背後から彼を守るように進み出ました。

 狼狽する先兵衛、あっという間に南北くんと八助に前後を塞がれた格好。


(=゚л゚)「こ……こ、これはいったいどういう……」

(  ̄д ̄)「簡単なことさ。あの芝居で割ったのは、八助に八方探させて手に入れた、この『ホンモノの偽茶釜』にそっくりの『ニセモノの偽茶釜』、ってこった」

(=゚л゚)「なっ……!」

(  ̄д ̄)「お前みたいな詐欺師ってヤツは、つけ入る隙があればどこまでもつけ込んでくるからな。預かったはずの名茶釜を叩き割ったって事実が周知になれば、それを聞きつけて必ずまたここにやってくる……喜兵衛さんを強請りにかかるために。そう踏んだんだよ。で、案の定、ってわけだ」


 言いながら、腰の長ドスをすらりと引き抜いた南北くん。
 白刃を冷たく煌めかせつつ……昔とった杵柄、極道仕込みの凄みをきかせて先兵衛へとにじり寄り。


(=゚л゚)「う……あ……」

(=_=`)「……観念するでござるな」


 反対側には、気は優しいが力持ち、屈強なガタイの元侍・八助がどーんと仁王立ち。


(  ̄д ̄)「逃げ場はねえぞ。この刀の錆になるか、大人しく捕まるか、三秒で選びな」


 騙したはずが騙されて、挙句の果てに逃げ場なし。
 みるみるうちに顔面蒼白、ついに騙りの先兵衛は、


(=゚л゚)「す、す……すんませんっしたぁぁぁぁ~……」


 因果応報、天網恢々疎にして漏らさず。
 かくして詐欺師は無事捕まり、めでたく事件は解決となりました。

 そしてまた、この一連の顛末は、やはり街中の熱い話題となり……、


(◎∀◎-)「ほんまど偉いんは水野南北! 水野南北大先生やがな! その詐欺師さえも一目で見破る観相の腕前は大坂一、いや日の本一、宇宙一の偉大なお方でんがなぁっ!」

(  ̄д ̄)「お、おい喜兵衛さん……宣伝してくれるのはありがたいけど、いくらなんでもそりゃ誇大広告な……」

(◎∀◎-)「いいや古代も新生代も弥生時代もおまへん! 事実兼ワテの本心でんがな! それにあの一件でワテも先生も知名度急上昇中、まさに今こそが追い風、上昇気流、ビッグチャンスでおま! 何より先生の大恩に報いるためにも、訪れた好機は絶対に逃さしまへん……これぞビジネスの基本にして真髄でおまんがなぁぁぁぁぉぉぁぁっ!」

(  ̄д ̄)「だからテンションたけえよ」


 かくして、いよいよ南北くんの元には観相依頼のみならず、
 全国各地から弟子入りを希望する人びとが殺到し始めたのです。


 ――日本一の観相師。
 その類稀なる頂へと至る大きな道筋が、今まさに、南北くんの前に拓かれようとしていました。


 つづく。



 次回、ナンボククエスト第十五話、
「灯台下暗しって言うけれど、東大に行けばもっと暮らしが良くなるってわけじゃない」
 をお楽しみに。嘘です。

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ストーリー・オブ・ウォーターフィールドサウスノース(13)

 たいへんおまたせしもうした。
 ひとまずごたくはさておき、前回の続き。



 薬種商の若旦那・喜兵衛を弟子に迎えた南北くん。
 八助と共に喜兵衛の別宅に移り住んでから、しばらくたったある日の事。


 悪相不健康からすっかり快復した喜兵衛(◎∀◎-)は、家族や従業員を連れて花見に出かけていました。

 咲き誇る桜の下で宴会モード。
 喜兵衛のまだ幼い子供も大はしゃぎ。桜吹雪の中をあちこち駆け回ります。

 ……他所様の宴会テリトリーにも疾風怒濤で容赦なくブレイクスルーしまくるほどに。

 喜兵衛はたまらず追っかけて、首根っこを捕まえました。


(◎∀◎-)「こら、あかんやないか。ほかの花見客に迷惑かかっとるやろ?」

(;>o<)「やだやだやだー! はーなーしーてー! うびぇぇぇぇーん!」

(◎∀◎-)「あかん、どないしよ。手ぇつけられへん……」


 花見の解放感にあてられ高揚しているのか、いくらなだめても落ち着きません。
 困り果てていたその時でした。


(=゚л゚)「む、これは元気のよろしい童だな」


 通りがかった従者連れの侍が、親子の前で足を止めました。
 物腰も身なりも、見るからに立派な感じのその侍は、子供好きなのか、じたばたする子を見て鷹揚に笑うと、懐から何やら取り出しました。


(=゚л゚)「はっはっは、よし、拙者はちょうどそこの福引出店で当たったニンテンドー3DSiを持っておる。これを童にあげようではないか」

(*>o<)「わーい、おさむらいさんありがとーっ!」

(◎∀◎-)「なっ、そないなもんホンマによろしいんでっか!? ……つーか、あないな屋台クジのそないな高級品て、単なる客引きで絶対当たらへんと思っとったですがな」

(=゚л゚)「はっはっは、戯れに引いてみたのであるが、当たったものは仕方あるまい。それに拙者が持っておっても無用の長物。こうして童の手に渡るべくして訪れた、天の采配やもしれぬ。お気にめされるな」

(◎∀◎-)「それは……ほんまおおきに。せやかてこのまま何のお礼もせえへんかったら、この小西喜兵衛の名折れでおま。せめて一献、よければとことん桜の宴を共にしてはもらえまへんやろか?」


 こうして半ば強引に喜兵衛は、片利先兵衛(かたり・さきべえ)と名乗ったこの侍を花見酒宴に招き、盛大にもてなしました。



 数日後。
 喜兵衛の店を、先兵衛が従者を連れて訪ねてきました。

 先日のもてなしのお礼にと、手には見事な酒肴と菓子折り。
 喜んだ喜兵衛は、先兵衛を奥座敷に招き入れ、先日同様心からもてなしの酒宴を開きました。


 が、その最中。

 主人が宴会に興じる間、店の前で待機していた従者を見つけた、ある男。(´・ω・)
 先兵衛が喜兵衛の屋敷にいると知り、店番に話を通して、奥座敷までやってきたのです。


(´・ω・)「あのう、片利様。先日片利様のご主君がご所望とのことで、この古天明平蜘蛛茶釜、三百両の手付金として、百両賜りましたが……」

(=゚л゚)「うむ、確かに百両は払ったが、なんだ言い難そうに。構わぬから早く申せ」

(´・ω・)「はい。それが……業突張りな当店の主人が、他に四百両出してくれる買い手が見つかったから、今日中にお侍様から残り二百両を頂けないのなら、手付金を返してこい、などと言い出しやがりまして……」


 恐々と告げる男の手元には、件の茶釜と百両包み。
 残金を払って茶器を受け取るか、百両を取って商談を破棄するか、という選択肢の表れです。

 しかし、あまりに図々しい申し出に、当然ながら呆れる一同。


(=゚л゚)「……では、今この場でそれがしが百両出そう。残り百両は明日中に用立てる。それで手を打たぬか」

(´・ω・)「個人的にはそうしたいのはやまやまなのですが……ギネス級にドケチアンド強欲で人として最低な当店の主人はそれを許さないでしょう。でなければ、こうして私を使いを出したりはしませんですハイ……」

(=゚л゚)「ぬぅぅぅ……おのれあの鬼畜外道の餓鬼商人め! 一度金額を取り決め手付金まで受け取っておきながら、なんという不埒千万! 我が主君の面目も丸つぶれではないか! 今すぐにでも駆けつけ刀のサビにしてくれるわ!」


 怒りのあまり刀を手に飛び出そうとした先兵衛を、喜兵衛は必死で押し留めました。


(◎∀◎-)「ちょ、ちょいとお待ちなはれ! ほならわてが今その残り百両用立てますさかい!」

(=゚л゚)「いやしかし小西殿、そういうわけには参りませぬ」

(◎∀◎-)「いくらご主君はんのため言いなはっても、怒りにかられて刃傷沙汰は良くありまへんがな! それこそ主の名を汚すとは思いまへんかいな!?」

(=゚л゚)「む、むぅ……」


 喜兵衛の真摯な説得の甲斐あって、先兵衛はどうにか落ち着きを取り戻しました。
 そして渋々ながらも申し出を受け入れ、喜兵衛の提供分と合せた二百両を(´・ω・)に支払い、無事その場で件の茶器を手に入れたのです。


(´・ω・)「まいどー。では私は宴会の邪魔なので速やかに主人の元に帰ります。ホントすみません」

(=゚л゚)「うむ。くれぐれもよろしく伝えてくれ。次このようなことがあれば叩っ斬るとな」

(´・ω・)「はい。あの下衆の頂点に君臨する当店の主人にはそれはもうきっちりばっちり身体に教え込ませるように伝えておきます。それでは……(ささっと退場)」

(◎∀◎-)「……どんな店内関係なんでおまっしゃろかなぁ……」

(=゚л゚)「しかし喜兵衛殿、かたじけない。早速百両借り受けの証文をしたためねば」

(◎∀◎-)「あー、それにはおよびまへん」

(=゚л゚)「む? なにゆえにそのような」

(◎∀◎-)「ご主君の名誉を守らんとする片利様の心意気、この小西喜兵衛えらい感服でおます。そんな忠義のお武家はんから証文いただくやなんて、武士道ならぬ商人道に背きまんがな。せやから必要おまへんっ」

(=゚л゚)「む、むぅ……何から何まで、本当にかたじけない。だがそれではさすがにそれがしの面目も立たん。せめて証文代わりに、用立て分の百両を持参するまで、この平蜘蛛茶釜を預かってはもらえぬか。拙者のような粗忽者の手にあるより、一流の商人である喜兵衛殿の手元にある方が、むしろ安心できるゆえ」

(◎∀◎-)「……まあそこまでおっしゃるなら、そうしまひょか。責任もって大切に保管させていただきますわ」

(=゚л゚)「何から何まで、本当にかたじけない。この恩、決して忘れはせぬぞ」

(◎∀◎-)「まあまあ、これ以上かたい事は言いっこなしでんがな~、ささ、飲みなおしといきましょか~」


 こうして、酔いどれ喜兵衛と先兵衛は気分も上々、杯を酌み交わしました。


 やがて宴が終わり、店を後にした先兵衛と入れ替わるように、南北くんと八助が喜兵衛を訪ねてきました。


(◎∀◎-)「やー先生に八助はん、本日はお日柄もよくー」

(  ̄д ̄)「いきなり何スピーチ始めてんのさ? 喜兵衛さん、酔ってるね。ところでさっき店から出てった侍は?」

(◎∀◎-)「それがでんな、実はかくかくしかじかで、さっきまで宴会しとりまして」


 上機嫌の喜兵衛。
 しかし南北くん、先兵衛とすれ違ったときに見た「相」に、何かを感じ取っていました。


(  ̄д ̄)「そっか……でも百両なんて大金、酒のせいかもしんないけど、早まったかもしれないよ?」

(◎∀◎-)「わはっはー、いくら先生の仰ることでも、そんなはずありまへんがな。片利様は忠義溢れた武士の鑑、こうして担保代わりに、このご主君のための古天明平蜘蛛とかいう茶釜をワイに預けてくだはったくらいで――」

(=_=`)「古天明平蜘蛛……? そんなはずはないでござる」

(  ̄д ̄)(-◎∀◎)「??」

(=_=`)「かの茶器は、戦国時代に乱世の梟雄と呼ばれた松永久秀が愛蔵した名器でござるが、久秀が織田信長に攻められ自害した際、共に爆散したと伝わってござる」

(◎∀◎-)「は……? ほ、ほならつまり……」

(  ̄д ̄)「つまり、現存してるはずがない、ってことか?」

(=_=`)「左様でござる。現存しているはずはござらぬし、もししていても、かような経緯から三四百両程度の値で済むとは到底思えない超レアアイテムでござる」


 普段寡黙な八助の、博学なツッコミに血の気の引いた喜兵衛。
 一気に酔いはさめ、急いで鑑定家に見てもらいました。


 ……鑑定の結果。


(゚┏ω┓゚ )「いい仕事してますねぇ~、なーんて言う訳ないじゃろこんなガラクタに」


、二百両どころか、ダ●ソーでも買えそうな二束三文の安茶釜。

 そう、贋物だったのです。


 つづく。



 次回、ナンボククエスト第十四話、
「喜兵衛絶体絶命(中略)後編」をお楽しみに。
 嘘でもなんでもなく長いから前後編になっちった。







(  ̄д ̄)「ってかなんで師匠が鑑定してんのさ」

(゚┏ω┓゚ )「たまには出番くらいあってもええじゃろが」

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ストーリー・オブ・ウォーターフィールドサウスノース(12)

 えーっとお知らせ。
 前回までこの「ストーリー・オブ(以下略」は《考え事→飲食》カテゴリに入れてましたが、
 新たに《物語→水野南北》カテゴリを作って、過去記事も含めて全部そちらに移動させました。

 なので以前の話には「物語」としちゃ余計な能書きが入ってたりもしますが、
 そーゆー経緯なんで、特に新たに読み進めて頂いた方はご容赦くださいませ。m(_ _)m


 んじゃ前回の続き。




 初めての弟子・紀州浪人の八助を迎えた南北くん。

 その八助、温和な割に案外果断な行動派で。


(=_=`)「師匠、只今帰りましたでござる」

(  ̄д ̄)「おうお帰……って八助、何だその本の束は。それに刀差してないじゃん、どーしたんだよ?」

(=_=`)「拙者、師匠の弟子になりもうした。ゆえに、一日も早く師匠の教えについてゆけるよう、まずは古今東西の観相書を読破しようかと」


 弟子入りの翌日には大小の刀を売り払い、
『柳庄相法』『麻衣相法』『陳搏相法』『神相全編』『月波洞中経』『非相篇』などなど、
 古本屋で観相学の本を買い漁ってくると、南北くんの前に座って音読を始めました。

 海常師匠の教示を受けて後、実学一辺倒だった南北くんも、
 思いがけず弟子の口から流れ出す新鮮な知識に、一緒に座り込んで耳を傾けました。


(  ̄д ̄)「(人に教えることとは自分が教わることだ、ってよく聞くけど……師匠もこんな風に俺から学んでたのかなぁ)」


 普段物静かな割に、ハッキリと芯のある八助の朗読を聞いていると、
 海常師匠に初めて教えを受けた時の事がしみじみと思い出されます。


(  ̄д ̄)「(つっても、これじゃどっちが師匠かわかんねぇなぁ。ま、いいけど)……って八助、今の『五常』ってのは何だ?」

(=_=`)「五常と申しますは、儒教における仁・義・礼・智・信の五つの人徳のことで――」


 何はともあれ。
 師匠と呼ばれるようになっても、南北くんの学究心は衰えを知りませんでした。



 さて。八助が弟子となってしばらく後。
 南北くんはさらに、もう一つの重要な出会いを果たします。

 それは、以前の働き場で贔屓にしてくれたVIPの頼みで、ある人物の観相へと出向いた時のこと。

 行き先は、現代でも薬の町として知られる大阪・道修町。
 観相相手の名は、薬種商の若旦那こと三代目小西喜兵衛。

 依頼してきたVIPの話では、この喜兵衛という男、とにかく病身病弱な上に不運続き。
 あちこちの易者に観てもらったものの、『この相では三十歳まで生きられないだろう』と口を揃えたように判定される始末。

 おかげで、ただでさえ貧相虚弱な喜兵衛は、余計陰気に落ち込んでいく一方。
 それを見かねた依頼人が、藁にもすがる想いで南北くんを頼ったのでした。


(  ̄д ̄)「なんとか縁起直しできないものか、って頼まれりゃ、まぁひとつやってみるしかないわなぁ……ごめんくださーい」

(●A●-)「本日はぁ……わてのためにぃ、わざわざお越しいただきぃ……ほんまおおきに……」

Σ(; ̄д ̄)「うわっ! めっちゃ暗っ!?」


 初めて目にした喜兵衛には、凶相も凶相、短命貧窮の悪相がこれでもかと出ていました。

 しかし今回の依頼内容は、単なる観相だけではありません。
 この『悪相』を、いったいどうやって『好相』へと押し上げるか。

 模索の中で思い出したのは……他でもありません。
 南北くん自身がかつて経験した『凶相からの脱却』と『現在にまで至る、向上と理解』、そのプロセスでした。

 この日から、南北くんは喜兵衛の相を改善するため、頻繁に道修町へと通いつめます。

 相の改善、ひいては運勢・運命・そして生命力の改善。
 それらを成功させるべく、まず「相とは何か」、「相は何によって定まるか」、
 そして「相を変えるにはどうすればよいか」……八助も交えて、喜兵衛の屋敷で根気よく講義を行いました。


(  ̄д ̄)「相って字は木目って書くだろ。木目ってつまり、年輪のことじゃん」

(=_=`)(●A●-)「「おお、確かに」」

(  ̄д ̄)「顔の、人相ってのも同じなんだよ。
 例えば、目は心の窓でさ。顔の相の六割は目の光で決まるんだ。日頃暗い事を考えてれば光は暗く淀むし、善い活力に満ちてれば澄んで力強く輝く。
 荒んだヤクザ生活してる奴の血走った目や、いつも愚痴や泣き言こぼして取り越し苦労ばっかりしてる奴の恨むような目は、その心の暗さが目の色にこびりついてできた相なんだ」

(=_=`)(●A●-)「「ふむふむ」」

(  ̄д ̄)「口も同じだよ。口ってのは言葉、つまり意思を発する場所だ。
 悪口や不平不満ばっか言ってると、口の端がへの字になる。何度も繰り返せば、その動きがこびりついて、口の形そのものが歪んでくる。悪い相が積もって刻まれていくんだ。
 喜兵衛さん、あんたのアルファベットな形の口も同じさ。心当たりあるだろ?」

(●A●-)「はぅ……確かに、そないやったかもしれまへん……」

(  ̄д ̄)「イエスキリストだって、はじめに言葉ありきって言ってるじゃん。それに言葉は考えや思いがあってこそ生まれるし、行動も同じだ。外面に現れるかどうかは一切関係なく、どんな些細な要素でも全部重要で、つまり全部『相』になるんだ」

(=_=`)「なんと……相とは、それほど根深いものでござったのか」

(  ̄д ̄)「つまり『相』ってのは全部、自分で蒔いた種から出たものだ。
 考えたこと、思ったこと、口に出したこと、行動したこと……塵も積もれば山となるって言うけどさ、その全部が本当にもれなく積み重なって、年輪のように層となって、その人の人相が固まる。他の相も同様にでき上がるんだ。
 例外はないよ、本人がそれを意識していようといまいとね。天網恢々疎にして漏らさずってのは、ある意味そういうことでもあるんだよ」

(●A●-)「あ……つまり、意識してへんっちゅうのが……疎、天網の目が粗いってことでおますか……」

(  ̄д ̄)「おうよ。自分は不幸だ不幸だって嘆いてる奴を見てみなよ。例外なく自分が自分の運命を、相を創ってるって意識がまるで皆無だろ」

(=_=`)「……言われてみればまこと、そのようでござる」

(  ̄д ̄)「いいか。本当の相ってのはね、外側じゃない、内側にあるんだ。
 というか本来、肉体に相はないんだ。
 生まれつきの悪相なんてのは無くて、それは全部、いわゆる自我から生み出されて、つまり自我が目に見える『相』という姿形をとって、外側ににじみ出てきただけなんだよ。
 と、いうことは……だ。八助、喜兵衛さん、どういうことかわかるかい?」

(=_=`)(●A●-)「「?」」

(  ̄д ̄)「俺は何のためにここに来たんだい?」

(=_=`)「それは、喜兵衛氏の運命を好転させるため、でござるな」

(  ̄д ̄)「そうだ八助。そして今言ったとおり、悪相も良相も生まれつきじゃない、後天的なものだ。つまり……」

(●A●-)「あっ……ほなら、わての三十歳まで生きられんっちゅう運命も……?」

(  ̄д ̄)「おうよ、喜兵衛さんにその気があれば、変わるぜ。相は、運命は心持ち一つで変え得るんだ!」

(●A●-)「! せ、先生ぇぇ……」

(  ̄д ̄)「感激で涙ぐんでるとこ悪いが、泣くのはまだ早いぜ。
 これから基本方針として、俺の監督下で日頃の行いの見直しと矯正を試みる。で、それを通じて喜兵衛さんの『内側』を変える。そうすれば相も運命も、勝手に変わってくる。俺はそれを身をもって経験してきたからね」

(●A●-)「ハイ先生! わてはいくらでも、先生の教えに従いますさかい……なにとぞ、なにとぞぉ……」

(  ̄д ̄)「俺の袖で鼻水拭くな。んじゃまずは日々の食事、献立から変えていこうじゃないか」

(=_=`)「食事、でござるか? 師匠、それはなにゆえでござる?」

(  ̄д ̄)「さっき、心の姿勢も含めた全部が『相』という年輪として積み重なって現れる、って言ったよな。
 逆に言えば、そんな年輪が生じるからこそ観相ってのは成り立つんだ。
 ただ、従来の観相学ってのはそこで終わってた。満足して追究を怠ってたんだ。あんたは運がいい、運が悪い、それだけ判定してハイ終わり、ってね」

(●A●-)「ああ……今まで見てもろた易者はん達も、言われてみればそうでおましたなぁ……」

(  ̄д ̄)「俺はこれまで、千人万人の観相を通じて、実学で学ばせてもらってきた。いわば、千人万人がもれなく恩人なんだ。
 なのに、そんな恩人に対して、ただ相を見て『あんたは運がいい、運が悪い』ってだけで済ませてんじゃ、相手のためになりゃしない。恩返しにならないんだ。
 運が良いならそれを保ち更に押し上げるには、悪いなら悪いなりに好転させるにはどうしたらいいか、そこまで的確に処方箋を出せてこそ、つまり一人一人それぞれが本当に幸せを噛み締めてくれてこそ、ようやく俺も恩を返せたことになるんだ。
 そのためには、不幸な人間が不幸になるべくしてなった、その根本的な共通点を洗い出す必要があった。不幸の原因を取り除けば、あとは幸せになる道しか残らないからな。火葬場にまでもぐりこんだのには、そんな理由もあるんだよ」

(●A●-)「ひそひそ(八助はん……あんさん、ええ師匠に恵まれはったなぁ……)」

(=_=`)「ひそひそ(誠に、我が事ながら同感でござる)」

(  ̄д ̄)「っと悪い、話が逸れたよな。
 たとえば熟練した庭師は、庭木の葉っぱ一枚見ただけで、その木の健康状態や、庭土の質まで見通しちまう。
 それと同じだよ。相は葉っぱ、考えや心は幹だ。いくら葉っぱをいじったところで幹の病は良くなりゃしないけど、逆に幹が健やかなら自然と葉っぱも変わり、緑濃く生い茂る。つまり運も栄える。
 でも、それだけじゃない。今の喩えで、何か抜けてるところに気付かないかい?」

(=_=`)「抜けた所、でござるか……? 葉っぱが『相』で、幹が『心』……」

(●A●-)「あ。先生、『庭土』にあたるものがおまへんな」

(  ̄д ̄)「そうだ。葉と幹、つまり木を俺たち人間とすればさ、庭土はその人間の生命を根本的に支えるものだ。
 あ、人間の生命つっても、単に肉体の生命ってことじゃないよ。
 それだけじゃなく、心も精神も、全部ひっくるめた『にんげん』を構成する全て、ってことさ。
 で、俺たちってのは要するに、飲み食いした物でできてるだろ」

(=_=`)(●A●-)「「あ!」」

(  ̄д ̄)「オーケー、その顔は気付いたな。
 そう、人倫の大本は『食』だ。
 運命って字は命を運ぶって書くけど、そのためには食わなきゃいけない。
 でもその食う物ってのも、やっぱり命だ。
 食った命にまた命を運んでもらってるんだ。それこそ恩人みたいなもんだ。
 そんな命の扱いがぞんざいなら、つまり食い方が悪ければ……具体的には美食や贅沢、暴飲暴食なんかを繰り返してれば、運ばれてくる命の方が愛想を尽かす。つまり運命が悪くなるんだ。
 実際、火葬場で見た陰惨な人生を遂げたやつの内臓ほど、いったいどんな悪食だったか知らないが、青黒くて病気そのものみたいな色してやがった。それにこれは一つの例なんだけど、昔の俺はさ――」


 そうして、南北くんが続けてしみじみと語った過去――海常師匠に死相を指摘され、必死の思いで麦と豆のみの慎食行に挑み、そして剣難から脱したばかりか観相という道を見つけた実話に、喜兵衛は大いに感激した様子で、


(●A●-)「そないなことが……ほなら先生は今も?」

(  ̄д ̄)「おう、麦飯は一日一合半、酒は好きだけど一日一合以内を続けてる」


 かくして彼、三代目小西喜兵衛。
 南北くんの指導の下、慎食と日々の心構えの改善に挑み……やがて。


(◎∀◎-)テカテカ

(; ̄д ̄)「……呆れるくらい見違えたなおい。口がターンエー化してやがる」

(◎∀◎-)「いやぁ、それもこれもみんな先生のおかげでおま!」


 あれだけハッキリ出ていた喜兵衛の悪相はまるでナリを潜め、
 それどころか、明るくイキイキはつらつとした、いかにも大店の若旦那にふさわしい覇気を発揮するまでになりました。

 実際にコーチを務めた南北くんにとっても驚きの運命向上っぷりでしたが、
 何より誰より、一番心躍っていたのは、他ならぬ喜兵衛本人でした。 
 感謝の念もあらわに、喜兵衛は南北くんへと、こんな事を申し出たのです。


(◎∀◎-)「つきましては先生、わても八助はんと同じゅう、先生の門弟にしてもらえまへんやろか? そしたら、この近くにわての別邸がありますさかい、遠慮なく自由に使ってもろて構いまへん。そこに八助はんも一緒に住まってもらえまへんやろか?」

(  ̄д ̄)「ん? まあ、それは問題ないし非常にありがたいんだけど、何でまたいきなり?」

(◎∀◎-)「わての先生を千日焼き場にずっと篭らせとくわけにもあきまへん。それに先生はほんまに大したお方や。そんな先生の教えを、わてと八助はんの二人占めやなんて社会の大損失でんがな。ここはひとつ、わてが宣伝部長として駆け回りますさかい、ウチを拠点にもっとお弟子はんを集めまひょ!」

(; ̄д ̄)「あ、ああ……つーか元気になりすぎだろ。嬉しいけどさ」

(=_=`)「しかし、ついに先生もお屋敷住まいでござるか。ツチノコでも捕まえて一攫千金を果たしたみたいなものでござるな」

(◎∀◎-)「ほならわてはツチノ小西喜兵衛かいな! こりゃ八助はん、うまい事言いよりますなぁ!」

(  ̄д ̄)「うまいか? それ……」


 こうして、地元でも有力な商家である喜兵衛の強力な援助を得て、
 南北くんは本格的に観相家としての大きな一歩を踏み出そうとしていました。

 ……が、その矢先。

 ある悪質な事件が、彼ら南北一門に降りかかってきたのです。

 その事件とは……次きの講釈にて。


 次回、ナンボククエスト第十三話、
「喜兵衛絶体絶命! 南北一座、一世一代の大芝居!?」
 をお楽しみに。嘘ですは嘘です。

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ストーリー・オブ・ウォーターフィールドサウスノース(11)

 えっと長らく更新が開いちゃってすみません。無事生存してます。
 ちと内的な意味で大きな変化、あるいは示唆がありまして、実はまだ現在進行形でそのウェーブとやりあっとります。
 正直かなり混乱気味ではあるんですが、それなりに落ち着いてもきたのでお待たせしすぎな南北くんの続きやります。日本語あやしいなおい。

 では、どうぞ。


 ~~~


 前回の続き。


 髪結い床で得たのは、顔や毛に関する観相。
 風呂場で得たのは、体格や様々な体の部位について。

 それらは全て、身体の表面に位置するものばかり。


 しかし、人体とは。
 相を持つ人体というものは、表面だけではないはずだ。


 人体の内側にある相を見定めるべく、いよいよ南北くんは、
 焼き場人足――つまり火葬場での労働に就く決心をしました。


 天明六年(1786年)。
 水野南北、三十歳。

 三年勤めた松の湯に暇を出したその足で、
 摂津西成郡難波村(現在の大阪市浪速区)の千日墓所という所へ向かいました。


 この焼き場人足という職、あるいはそれを統括する胴元の人々は、いわゆる葬儀屋の役割も兼ねていました。
 現代でも不況知らずなどと呼ばれもする業界ですが、この時代のそれは利権も相当のもの。
 元締めクラスともなると小大名すら凌ぐ豪奢な生活を送れるほどだったとか。

 だから、下っ端人足であってもおいそれと雇ってもらえるわけではないのが常。

 ……なのですが、そこは南北くん。
 サロン・ド・鬼や松の湯、そして観相の腕で培ったVIP人脈を駆使して、とらば~ゆに難なく成功しちゃいます。


(  ̄д ̄)「ほんっと、持つべきものは、人脈だね。ありがたやありがたや」


 さて。
 この千日墓所には、その名のとおり墓地としてのほか、二つの顔がありました。

 一つは、焼き場、火葬場として。

 もう一つは……処刑場として。


 つまり、ここに集う「ホトケさん」は、安らかな最期を迎えた人ばかりではありません。

 血なまぐさい人生の末に壮絶な最期を遂げた人。
 騙し騙され世を恨んで逝った人。
 大罪によって処刑された人。
 また、社会的な法を犯したわけではないが、無惨な事件や事故に巻き込まれた人も。

 そのような、いわゆる「不遇」な人々の「死の表情」を無数に目の当たりにしていきます。
 それは一切の例外なく、「相を止めた人々」あるいは「~だったもの」の姿。

 更に葬儀では参列者の間を駆け回り、死者の来歴を巧みに聞き出し、遺体の持つ情報との比較照合を怠りません。
 そうやって、焼き場人足としての働きの中、南北くんは浮世の巷では得難い貴重なデータを着実に集めていきました。


 そんな、ある日の事。


(  ̄д ̄)「……ん? あいつはまさか……」


 一仕事終えて墓所内の住家へと歩いていた南北くんの前方から、二人の男が歩いてきました。
 しかもその内の一人、チンピラ風体の人物に、何となく見覚えがありました。


(  ̄д ̄)「もしかして権(ごん)か?」

(`д´メ)「!? ワシの名ぁ知っとるおんどれぁ、何もんじゃ!」

(  ̄д ̄)「待て待て、匕首抜こうとすんな。俺だよ俺、鍵屋の熊太」

(`д´メ)「……ああっ! 熊太の兄貴で! 生きとったんで!?」

(  ̄д ̄)「おうよ、そう簡単にくたばってたまるか」


 この権という男。
 かつて鍵屋熊太としてチンピラ稼業に携わっていた頃の、いわゆる舎弟でした。
 その立居振舞いから察するに、どうやら今も極道の世界にどっぷり浸かっている様子。


(  ̄д ̄)「ところで権よ、隣の侍さんは?」

(`д´メ)「いやなに、いわゆる用心棒でさあ。といっても腕も威勢もからっきしなんすけどね、ご覧の通りガタイだけはいいんで。連れてるだけで番犬代わり程度にはなるってぇもんで」

(=_=`)「……(ぺこり)」


 そう言われ、静かに会釈した隣の浪人を改めて観察した南北くん。
 確かに、体格は立派ですが、眼光に任侠者特有の狂犬めいた鋭さがありません。
 むしろ雇い主からの侮言にも気を損ねない、温和で実直な気性が窺えるほど。
 人間としては好感が持てそうですが、しかしなるほど、用心棒としては張子の虎のようです。

 そんな観相モードのまま、視線を侍から権へと戻した南北くんでしたが、
 その時、昔馴染みの顔面に、ある『相』を発見してしまいました。

 海常師匠と初めて出会ったとき、彼の顔にあったのと全く同じ――剣難の大凶相を。


(  ̄д ̄)「……権、気をつけろよ」

(`д´メ)「……はぁ? 何でぇいきなり」

(  ̄д ̄)「お前に剣難の死相が出てる」

(`д´メ)「んだとワレェ! 何縁起でもねえことぬかしよんねん! 昔のよしみで下手に出てりゃつけ上がりやがって!」

(  ̄д ̄)「よしみってのはこっちの台詞だよ。しばらくは大人しくしとくのを勧める。でないと本当に死ぬぞ」

(`д´メ)「ケッ! 薄汚ねぇ坊主の戯言に付き合ってられるかってんでぇ! 胸クソ悪ぃ、さっさと帰ぇるぞ八助!」

(=_=`)「……(こくり)」


 八助と呼ばれた武士は、やはり物静かな物腰で軽く頷くと、憤懣やるかたない権の後について立ち去っていきました。

 目を細め、その二つの背を見送りながら南北くんは呟きました。


(  ̄д ̄)「……昔の俺と同じ、愚か者だな」



 ……。

 数日後。

 墓所内を歩いていた南北くんの前方からやってきたのは、体格のいい一人の浪人。
 大人一人は充分入るサイズの桶樽を背負った男は、すれ違い間際に南北くんの顔を見るなり驚いた様子で、


(=_=`)「……あ、あなたさまは……!?」

(  ̄д ̄)「ん? あんた、確かこないだ権が連れてた……それにそのバカでかい樽は何だ?」

(=_=`)「……紀州浪人、大藪八助と申す。実は……先日のあなた様の予言が……当たりまして……」

(; ̄д ̄)「予言っつーか観相なんだけど、まさかその樽……」


 八助の話によると、つい昨夜のこと。
 極道稼業で恨みを買っていた相手に待ち伏せされた権は、急所を一突き。
 あっさりと帰らぬ人になってしまったとのことでした。

 チンピラの世界は薄情なもの。南北くんもそれは身にしみて知っています。
 権の舎弟達も、兄貴分の死に情けも見せず蜘蛛の子を散らすように去った中、しかし八助だけが桶樽を背負ってここまで遺体を運んできたのでした。
 この浪人の心根に切なくも温かいものを感じながら、南北くんは早速、八助を案内して、権を墓所内に葬ってやることにしました。

 桶から出して湯灌をし、死に装束を着せながら観察したかつての舎弟からは、
 完全に動きを止めた権の顔から、あの凶相は……やはり消え失せていました。

 そうして弔いを終えた南北くんの前で突然、八助は地に両手を突いて深々と頭を下げると、


(=_=`)「……あの、先生」

(  ̄д ̄)「は? 先生?」

(=_=`)「……はい。先生、その観相の腕前、そして心意気にこの大藪八助、いたく感服つかまつりました。こうして二度も巡りあわせて頂いたのも何かの縁……どうか、拙者をぜひとも先生の弟子にしていただきたく」

(; ̄д ̄)「で、弟子っ!?」


 これまで観相一筋、学究に邁進してきた南北くん、弟子を取るなど一度も考えたことはありませんでした。
 驚きつつも、しかしこうまで言われて悪い気はしません。

 何より、このお人よしで実直な浪人を、どこか気に入っていたのも確かでした。


(  ̄д ̄)「……よし、わかった。八助っつったよな。それじゃ今日からあんたはこの水野南北の弟子だ!」

(=_=`)「か、かたじけない! 粉骨砕身お仕えいたしまする!」

(; ̄д ̄)「いや奉公じゃねーんだから!」


 ♪てーれれーれーれれれー
 《八助 が なかまにくわわった!》

Σ(; ̄д ̄)「だから何だこのテロップとファンファーレ!?」
 

 こうして初めての門人、八助を迎えた南北くん。
 ついにパーティープレイ、もとい、ここから南北くんの大躍進が始まるのですが、それは続きの講釈にて。


 次回ナンボククエスト第十二話、
「私は一人密かに今更ツチノコを探してみる。無論いない。あ、いた! いたよ!」
 をお楽しみに。嘘です……けれどそんな歌なら実在しま

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