・オリジナル小説 『うたいしこと。』
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・『ストーリー・オブ・ウォーターフィールドサウスノース(水野南北物語)』
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常に曖昧に。
上のごとく下もしかり。
下のごとく上もしかり。
ずっと上にあると皆が思っている太陽は、
大気圏外に出てみれば下にあったり左にあったり後ろにあったりする。
あなたが下だと思っている方向は、
地球の真裏にいる人にとっては上になる。
上も下も右も左も、自分中心。
自分中心が生んだ固定観念。
そうやって、いつでも人は自縄自縛している。
しかも大抵、その縄の存在にさえ気付いていない。
だけど、他者中心になれば自由なのかといえば、そうじゃない。
なぜなら、自分中心以外のあり方は、ありえないから。
ここでのポイントは、自分中心の「自分」というもの、その解釈の根本的な、人類がずっと遺伝させてきた根深い誤解にある。
その誤解を、たとえば仏教では有身見(うしんけん)といって煩悩の一つに数えている。
地球に帰還した宇宙飛行士が、その後牧師や農家などへと転身するケースが多いというのも、上も下もない宇宙空間でそういった「誤解」を砕かれて、「本当のこと」に気付いたからなのかもね。