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あきらめる

 何かを追究する「道」ってのは不思議なものでね。

 そこに立つ人は大抵、難しく考える。


 だけど「大事なこと」は何もわからなくて、

 それでも、だからこそ難しく考えて、

 難しく考えて、

 難しく考えて、

 難しく考え抜いて、

 それでもやっぱり本当にわかりたいことはわからなくて、

 悩んで、力んで、悶えて、

 やがてそんな風にあり続けることに疲れて、力が抜けて、

 そうして難しく考えることからすっと手を離した瞬間、

 わかるようになっているんだ。


 彼らが欲しがる「大事なこと」は、

 あまりに当たり前すぎて、さりげなさすぎて、

 いつだってただここに、そこに、

 そしてこことそこの間の全てに在るだけなのに、

 それなのに難しく考えるあまりに、

 どこかにあるはずだと追い求め、

 掴み取ろうとするあまりに、

 気付けないでいるだけなんだ。


 いいかい。

 あきらめる、という言葉、

 その本当に意味するところは、ただ断念することじゃない。


 今まで、感じていたのに気付けないでいたもの、

 見えていたのに見ていなかったこと、

 「どこかにある」という思い込みの傘が生んだ影で隠れてしまっていた、

 「いつだってここにある」大事なことへと、光が届くようにすること。


 光を遮るものを手放して、影の中に埋もれてしまっていたものを明らかにすること。

 「あきらかにせしめること」

 それが、あきらめるという言葉の奥にあるもう一つの意味なんだ。

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Present=現在

<いまここに 在るそれだけで ありがとう
       この我が身さえ 自力にて在らず>


 根っ子の部分で理解するには、「肉体も心も『本当の自分・自分の本体』ではない(※)」ことを見破る必要があるけれど、そんな小難しいことは脇においといて。

 全てはおかげさま。
 

(※)ただし、心身はtrinity(=三位一体)の内の二柱となる重要な要素であり、軽視するものではありません。

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