常に曖昧に。
ああすんませんいろいろあってネットを離れて内面をみつめたりコラボライブ見てきたりしてました(ぇー
おかげさまでというか、迷ったり落胆したこともあるにはありましたがそれらもひっくるめて経験させていただいたお陰で内的にかなり開けた部分というか身についたとでも言うような事柄(?)があるんですがちょいとそれはまだ言葉にしきれませんっつーかできるかー!(ぇぇぇー
↑句読点くらいつけようね。
てか、ひっさびさにコンビニ弁当食ったんですけどね。
随分ご無沙汰だったから、なんとなくごちそう感覚でw
だけどいざ食ってみるとですね、噛み締めてるとほーんの僅かに、下がピリッとするような違和感。
いや腐ってるとかまずいとかじゃないんですよ。
そんなんじゃなく、もちろん自分の血肉になってくれるものだからありがたく味わっていただいたし、むしろ食べ物を不味いと思うこと自体がほぼ100%ないからそこは美味しいと思いもするんですが、それとは別にして。
普段玄米味噌汁漬物+αの一汁一二菜を主に続けてると、そういう合成添加物みたいのにも敏感になっちゃうんだろうか、ってふと思ったもので。もちろん真偽はともかく。
ふとね、青いご飯&薬でやわらかくした肉を思い出した。
何が言いたいかっつーと結局このリンク貼りたかっただけ(ぇー
いや、一応飲食カテゴリなんでこんな話も……(何
てなわけで前回の続き。
なんですが、ここでちょっとあだるちーな裏話。
実はこの頃の南北くん、しばしば遊郭通い。
遊郭ってのはご存知の通り、要はお金を払ってそういう「行為」をいたす場所なわけでよね(気を悪くされたらごめんなさい)。
しかも、秘伝薬のヒットでお金はあるもんだから、一度にまとめて二人とか三人とか。
でも、そういう行為目的と言うわけじゃなく。
体全体から「相」は見て取れるってことは、要は「普段隠されてる部分」にも相はあるんですよ。
だけど、いくら三助だからって、(特に女性)客の「部分」までまじまじと覗き込むわけにはいかないわけで。
つまりぶっちゃけ、その部分が持つ「相」の研究目的。
遊郭の側にしても、羽振りはいいのに「行為」はないってことで、結構な上客だったとかなんとか。
これをどう思うか、立派と取るかけしからんと取るかはたまた他の感想かは各自のもちろん自由なんですが、
とにかく南北くんはガチガチの価値観や倫理には囚われず、ぶっちゃけ手段を選ばなかったんですね。
「学問に聖域なし」
この姿勢なくして日本一の観相家には成り得なかったのは、想像には難くないでしょう。
で、そのスタンスは、ある痛ましい事件に出会った際の選択にも現れていて。
――事の発端は、松の湯に勤め始めてから三年ほど経ったある日のこと。
当時南北くんが住まっていた町内に、煙草屋の善兵衛という男がいました。
その日、町内を駆け巡った大ニュースは、この善兵衛が実はさる大名のご落胤で、その大名が急死し家中に世継ぎもおらず、藩の取り潰しを避けるため善兵衛に白羽の矢が立った、というもの。
藩の使者から聞いたその話は、善兵衛にとっても寝耳に水。
一度は武士になって大名駕籠にも乗ってみたい、とは思っていたものの、あまりの事に気分は雲の上、あっという間に上の空。
ただし、大名の死はまだ内密の事。
現状で公費を切ると幕府につっこまれるため、身なりを整えるための羽織袴に大小の刀、また仮にも大名たる者の旅に欠かせない駕籠や、駕篭かき・荷持ち・草履取りなどの人足の手配やその旅費も、一旦自腹を切らなければいけない。
そんな使者の指南に、善兵衛は家財道具から煙草屋まで、あらゆる私財を一切合財売り払います。
それでもまだ少し足りず、更には一人娘にまで「あとで必ず迎えに来るから」と身売りさせて、ようやく費用を工面。
出立予定日までの間、善兵衛は奇遇にも、南北くんと同じ長屋の別室を仮住まいにします。
一町民が大名に栄達、立身出世のシンデレラストーリー。
周囲から善兵衛がちやほやされる中で一人、南北くんだけは不思議でなりませんでした。
(  ̄д ̄)「妙だな……善兵衛さんの顔に栄達の相なんて、これっぽっちも出てないぞ?」
それどころか、南北くんの目にはっきりと映る顔の相は、失財と大辛苦、そして、
(; ̄д ̄)「……あれはどう見ても、終わりの大凶相だよなぁ」
しかし、それを見て取ったからといって、何がどうなるわけでもありません。
仮にその事を告げたとしても、浮かれ心地の善兵衛は、決して受け容れようとはしなかったでしょう。
極道あがりで観相修行を続けてきた故に人心の機微に聡い南北くんには、それはわかりきっていました。
慌しく日は流れ、ついに出立前日。
共に発つ使者や人足たち、他にご近所や同じ長屋の人々も交えて、善兵衛は住まいの長屋で最後の酒宴を催します。
宴の最中、酔っぱらった人足たちはひとり、またひとり、ふらふらと酔い覚ましに外へ出て行きました。
が、随分時間が経ったというのに、誰も戻ってきません。
痺れを切らし、使者が人足たちを呼び探しに出かけます。
……そして、ついに出立の刻限。
長屋には、羽織袴に大小を挿した武士姿で、ぽつねんと座る善兵衛。
供たる者は、誰一人戻ってきません。
その時、南北くんは叫びました。
(  ̄Д ̄)「詐欺だ! みんな、奴らを探して捕まえるぞ!」
ハッとしたご近所一同、宴の酔いも一気に覚めて全員で部屋を飛び出し、詐欺グループを探し回りました。
……が、時既に遅し。その足取りは全くつかめませんでした。
そして、長屋に帰ってきた南北くん達が見たものは、がらんとした部屋の中で自ら首をくくり、既に冷たくなってしまった善兵衛の遺体でした。
その死に顔を目の当たりに、南北くんはふと気づきます。
(; ̄д ̄)「凶相が……消えてる?」
いっそ安らかな善兵衛の死に顔。
最後まで張り付いていた大凶相が、まるで嘘のように。
それは、人の死というより、「相」の死、でした。
言わば、「相」が動きを止めること。
万物流転、諸行無常。
人が人として生き続けている限り、「相」は絶えず動き続けている。
観相学とは、まさにその「動き」や「揺らぎ」を観察・分析することでもあるのだ、と南北くんは悟ります。
いずれも静止し、一見同じようにも思える、寝顔と死に顔。
しかしそこには、その動きや揺らぎの有無という決定的な差があるのだ、と。
ならば、
観相を窮める者として、その「差」というものを、調べ尽くしてみたい。
南北くんは決心しました。
(  ̄д ̄)「よし……火葬場で働こう!」
かくして、日本一の観相家・水野南北、その基盤となる修行時代の、最後のピースが揃おうとしていました。
つづく。
次回・ナンボククエスト第十一話、
「俺は師匠になる! 誕生・水野南北中央不敗!?」
をお楽しみに。超級覇王電影嘘です。
前回の続き。
髪結い床『サロン・ド・鬼』での仕事を通じて南北くんは、
特に「顔」や「頭髪」から観る相と境遇の関連性、そのデータを大きく積み上げていきました。
期間にして、三年。
その間、南北くんのよく当たる観相の評判を聞きつけて来店し、
親しい顔見知りになった財界人や公人、大物と類される人々さえもいました。
しかしそんな中、割合としてはほんの僅かですが、
南北くんから見て明らかな『悪相』であるにもかかわらず、
類稀な財や地位を築き、更に幸せな生活を送っている人々もいたのです。
世間的には充分な的中率を評価されていたにもかかわらず、
観相を窮めることに意欲を燃やし続ける南北くんは、この『例外』に納得できません。
(; ̄д ̄)「うぅん……これは、顔や髪ばかりを観るだけでは足りないぞ」
思い出したのは、かつて海常師匠に師事した際に聞かされた、この言葉。
(゚┏ω┓゚ )「観相とはものの姿を観ることじゃ。顔のみならず、脳天から爪先、体毛一本にいたるまで、はたまた立ち姿歩き姿座り姿、その他全ての動作も含めた、人間そのものの姿を観抜き通すことじゃ。ゆえに観相学とは、人間学とも言ってよい」
要するに、顔は所詮、人間という肉体の一部分に過ぎない。
「人間学」であるからには、体全体はもちろん、立ち歩き、所作、声、ありとあらゆる「人間を構成する要素」そのものを包括しなければ、いくら顔や頭を睨み続けてもこれ以上は埒があかない。
(  ̄д ̄)「そう、だよな。頭部のデータはもう充分に集まったと思う。だからそろそろ、次は体全体のデータを集める段階に移ってもいいかもしれないな」
そんなわけで決意を固めた南北くん。
鬼店長こと平四郎に、退職届を提出します。
(´ム` )「……さようで。寂しくなりやすが、よござんしょう」
(  ̄д ̄)「ごめんね勝手ばっか言って」
(´ム` )「……なんの。これまで本当に随分と助けていただきやした。それに、」
そう言って、平四郎が向けた視線の先、
サロン・ド・鬼の出入り口……いや、その更に通りを挟んで向こう側。
(´ム` )「……再就職先が真向かいの銭湯ってことなら、ウチへの客足には影響ありやせんでしょうし」
南北くんが次に選んだのは、文字通り目と鼻の先。
サロンド鬼の正面にある、『松の湯』
(´ム` )「……松の湯さんと提携キャンペーンでも組めば、これまで以上の集客だって見込めやす」
(  ̄д ̄)「商魂たくましいなおい」
元々繁華街の一角であるこの近辺には、遊郭も多数ありました。
そのため、名のある旦那方が「遊び」に臨んでまず松の湯で身を清め、
サロン・ド・鬼で身なりを整えるというお約束のコースが定着していたのですがそれはさておき。
既にご近所で名の知れていた南北くん、松の湯側もあっさり〝とらば~ゆ〟を受け容れてくれました。
が、
(  ̄д ̄)「体全体を見るには、裸を見るのが一番。だからこその銭湯なんだけど……むぅ」
この頃の銭湯で働く人々の間には、その担当仕事による階級がありました。
まず新人は「木ひろい」、つまり燃料の焚き木集めとその運搬を任されます。
それを充分こなせるようになったら次は「釜炊き」、要は火の番、ボイラー係。
更に釜炊きでの働きを認められたら「湯番」、湯温や浴室全体に目を配り采配をとる、サッカーで言えば一種のMF(ミッドフィルダー)。
それを長らく勤め上げると「三助」に抜擢されます。
三助とは、湯番がMFならこちらはFW(フォワード)。
お客さんの希望に応じて、背中を洗い流して回る役割。
ちなみに番台に座る「番頭」は、大抵銭湯の主人やそれに準じる人物(女房など)なので、事実上「三助」が従業員の最高ランクなのです。
観相修行には、直接客の体に触れるこの「三助」が最も、圧倒的に都合がいいのは言うまでもありません……が。
(; ̄д ̄)「この調子じゃ、三助になるのに何年かかるかわかんないぞ。なんとかして手を打たないと」
働き始めてすぐに業界の実態を知った南北くん。
持ち前の機転をきかせて、即行動に移ります。
「三助」は、確かに従業員中で最高ランクの身分なのですが、最高なだけあって、これが中々の一仕事。
先に紹介したとおり、遊郭通いの旦那や、その遊郭で働く女性たちも多く訪れるこの松の湯では、背中洗い希望のお客さんは思いの外多く、三助の出番は絶えない有様。
来店客を待たせず、更に順番を間違えず、洗っては流し洗っては流し、気を使う肉体労働なのです。
そのため、三助連中の中には、
(-公-;)(-公-;)「できればもっと楽な仕事がいいなぁ~。あーかったりぃ」
なんて人もいるわけで。
(  ̄д ̄)「ちーっす、新入りの水野南北でーっす。三助の先輩方にはご挨拶の印にこれを」
Σ(゚o゚;)(゚o゚;)「おおっ! 特上寿司大盛り! しかも大トロ! 最高級大間のマグロ!」
(  ̄д ̄)「あ、こっちは幻の銘酒詰め合わせ、あとゴディバのトリュフにロイズの生チョコ」
(゚o゚;)(゚o゚;)「こんなたくさん!? 新人くんホントにいいの!?」
(  ̄д ̄)「もちろんっすよ。全部遠慮なくめしあがってくださいな」
(^o^*)(^o^*)「いやっほーう! 新人くんサイコー! 三助仕事の疲れもふっとぶぜー」
(  ̄д ̄)「ほうほう、三助ってのはそんなにしんどいっすか」
(-公-;)(-公-;)「そりゃもう、任されたからにはやらなきゃなんないけど、できれば代わってもらいたいくらいでね……」
(  ̄д ̄)「だったらひとつ、ものは相談なんですが……」
――新人戦闘銭湯員・水野南北。
こうしてショッカー松の湯入社早々、幹部三助を任されることになりました。
サロン・ド・鬼の時と同じく、
「給料要らず、月に数度の休みをもらえればそれでOK」
という条件を初めに提示していたのも、スムーズに話が進んだ理由のひとつ。
見習い助手ではあるけれど、全て計画通り( ̄ー ̄ )ニヤリ
ハードな三助仕事ですが、南北くんにとっては宝の山。
獲物取り放題の猟場に入ったハンターのように目を輝かせて、文字通り八面六臂の大活躍。
さらには、客が南北くんに投げてくれるチップも、「見習いだから」とそのまま兄貴分の三助にあげてしまうものだから、あっというまに従業員間でも大変可愛がられる存在になっていきました。
そうして、やっぱりお客さんに何気なく話しかけたりして、その全身の相と境遇に関するデータをどんどん積み上げていきます。
(^∀^*)「おーう兄ちゃん、背中流すのうまいやんか」
(  ̄д ̄)「あはは、ありがとうございます。ところでお客さん、観たところ何か家庭の悩みでもあるんじゃないですか?」
(^A^*)「そーなんよ聞いてくれ。実はさ……」
南北くんにとって、目の前のお客さん一人一人、全員がもれなく、観相を窮めるための大切な師であり、貴重な人間標本。
自然、感謝と畏敬の念から、洗い方もコリをほぐすような心のこもったものになっていきます。
切れ味鋭い観相と丁寧なサービス。
にわか三助の南北くんは、ここでも評判上々。松の湯の売り上げアップに大貢献。
観相師としてだけではない、水野南北という人間そのものの人気も、確実に高まっていました。
そして、当の南北くんは。
(  ̄д ̄)「やっぱり、師匠の言うとおり人相とは顔だけじゃない」
という確信を、本当に確かなものにしていきました。
この三助時代の膨大な観察データが、その後の観相師・水野南北の業績に多大な影響を与えたのは想像に難くありません。
……そんなこんなで時は過ぎ。
またも三年後。
三助勤めで着実に観相修行を進める南北くんの身近で起きた、あるひとつの痛ましい事件が、彼にまた新たな決意を抱かせることになりました。
その事件とは……続きの講釈で。
次回・ナンボククエスト第十話、
「わたしのおはかのまえでなかないでくださいそこにゆうていみやおうきむこうほりいゆうじとりやまあきらぺぺぺぺぺぺぺ」
をお楽しみに。嘘です。
(゚┏ω┓゚ )「ゆ
(  ̄Д ̄)「ゆけ勇者もょもと!とかまさかほざく気じゃないっすよね師匠」
(゚┏ω┓゚ )「……腕を上げたのう」
前回の続き。
安永六(西暦一七七七)年。
観相学を究めるべく、武者修行の旅に出た南北くん、この時二十一歳。
故郷の大阪から東へと歩きながら、さすらいの人相見として辻占いの露店を構えて転々とします。が。
|易|(  ̄д ̄)|占|「……」 ヒソヒソ( -д-)(-д- )ヒソヒソ
|易|(  ̄д ̄)|占|「……あのー」 ヒッ!?Σ(゚д゚ )(゚д゚ )
|易|(; ̄д ̄)|占|「……」 ダーッシュ! -=( >д<)( >д<)
極道くずれな南北くんの人相に、道行く人々は怖がって誰も人相を見てもらおうとはしません。
(; ̄д ̄)「な、なんつー皮肉だよ……人々の顔を観るために旅に出たってのに、自分の顔の悪さのせいで誰も近寄ってこないとかって……」
かといって、通行人をひっ捕まえて無理矢理人相を見せやがれと凄むわけにもいきません。
そんな旅を続けていくうちに、懐具合も厳しくなってきます。
とはいえそこは人生の裏街道でたくましく生きてきた彼。
錠前の技術を生かした職人仕事や、師匠・海常に観相学の知識と併せて教わった秘伝薬の調合と販売、更にチンピラ時代に培った歯切れのいい弁舌も相まって、その辺はどうにか食い繋ぎました。
(  ̄д ̄)「芸は身を助けるってのは本当だな。今更ながら感謝だよ」
人生すべてに無駄はない。
そう実感し、感謝しつつ旅を続ける南北君。
すると、天は恵みを惜しまぬもの。
旅の途中でお世話になったある和尚から、古ぼけた被り笠を譲り受けました。
この笠、古いとはいえ結構大きく立派な代物で、被ると南北くんの顔もすっぽり隠れるほど。
使える。
そう判断した南北くんは、早速その笠と着古しの僧衣に身を包み、アレな人相を隠しつつもそれっぽい雰囲気を醸し出すことに見事成功。
(  ̄д ̄)_△「ねんがんの かぶりがさをてにいれたぞ!」
と、アイスソードごっこをしても、殺してでもうばいとろうとする輩が現れたりすることはもうありません。
ここぞとばかりに辻観相に注力します。
その甲斐あって、徐々に彼の観相を求める人が増えていきました。
大阪から江戸を経由して仙台、盛岡、船で一旦江戸へ戻り、東海道を伝って京へと繋がる観相行脚。
途中、いくつもの変名や変装を使いこなして、いつしかついたあだ名が「鵺相者(ぬえそうじゃ)」。
そうして、再び故郷・大阪の土を踏んだのは、旅に出てから六年後の天明二年(西暦一七八二年)のこと。
(゚┏ω┓゚ )「勇者が鵺になって帰ってくるとはのう」
(; ̄Д ̄)「まだそのネタ引きずってたんすか!?」
とはいえ、南北くん自身には帰郷という感慨はありませんでした。
むしろこの大阪も、観相修行における一つの中継地にすぎない、
……はずでした。
(~А~ )「あのー、もしや鍵屋の熊太の旦那じゃありゃしませんかね?」
(  ̄д ̄)「ん、あんたは……ああ! 久しぶりだなぁ!」
滞在中のある日、街を歩いていた南北くんに声をかけてきたのは、かつてチンピラ時代に徒党を組んでいた古い仲間の一人でした。
(  ̄д ̄)「他の奴らはどうしてるんだ? 元気か?」
(~А~ )「それが……みんな死んじまいやがりまして……」
Σ(; ̄д ̄)「はぁ!? おい、何がどうしてそうなった!?」
(~А~ )「あ、いや、みんなってのは大げさなんですがね……実は、熊太の旦那が旅に出た直後にお上の一斉検挙キャンペーンがあったんですよ。それであっしら、ドブ川の泥をさらうみたいに根こそぎ捕まっちまいやして」
(; ̄д ̄)「それでお前泥鰌みたいな目してんのか」
男の話によると、捕まった極道仲間はことごとく牢屋にぶち込まれ、その半分はそのまま病やリンチなどで獄死してしまったとのこと。
牢屋暮らしの過酷さは南北くんも身をもって知っています。しかも一斉検挙でまとめて牢屋に詰め込まれたとなると、衛生面だけで見てもひどい有様になるのは容易に想像できました。
この男は比較的罪状も軽く、早々に住町からの所払い(追放処分)を言い渡されて出所できたものの、いまだに収監中の面々も多数いるといいます。
(  ̄д ̄)「そうか……でもお前はこうして生きて出てこれたんだな。運が良かったなぁ」
(~А~ )「運がいい? 冗談はおよしなすって。むしろ運がいいのは熊太の旦那じゃありやせんか」
(  ̄д ̄)「は? 俺が?」
(~А~ )「そうじゃありやせんか。タイミングよく旅に出て行方くらまして捕り手から逃れた上に、今もみじめなあっしらと違って、そうしてしゃんと生きてるんでやすから……」
(; ̄д ̄)「……」
複雑な心境でした。
運が良いどころか、まかり間違えば今頃、かつて鉄眼寺で供養した無縁仏と同類になっていただろうことは、南北くん自身充分に自覚しています。
もしもあの日、偶然水野海常に遭遇して、易断を受けていなかったら。
もしも、転がり込んだ鉄眼寺の老僧に、試験を出されていなかったら。
もしも、再び海常に出会って観相を志し、師事を求めていなかったら。
その精妙に連なる糸のような、自身の「運」の流れ。
そしてそれは南北くんだけではありません。
旅の間に観てきた無数の人々の顔――すなわち「相」同様、運命も一人一人、一つとして、全く同じものはない。
そんな、心からの実感。
男と別れた南北くんは、物思いにふけりながら、いつのまにか銭湯に足を運んでいました。
(  ̄д ̄)「今更かもしれないけど……やっぱ、「相」と「運」の間には、何かある」
その関係性をとことん突き詰めたい。
体を洗いながら、観相への学究意欲を沸き立たせます。
商人の街、大阪。
人も多いが、何よりその人々の顔が、喜怒哀楽が、言うなれば「活き活きと、生々しい」。
ここで生まれ育ったからこそ、そして長い旅を経てきたからこそ、そんな他の土地との違いが南北くんには感じられます。
今、この地でその気付きを得たのは、決して偶然なんかではない。
この地、この場所こそが、自分の求める観相学を究めるのに絶好の舞台なのだ、と。
――これは、天恵だ。
ならば今こそ、これまでのやり方を更に押し進めていこう。
これまでよりも多くの人々の「相」を観察していこう。
でもそれには、従来どおりの大道易者だけでは足りない。
もっと大勢の人々の「相」を間近で観察できる職や場所はないものか……。
自然と、そこまでの決意と考えが胸に満ちた、その時でした。
(  ̄д ̄)「……ん?」
A∽∽∽∽A
| \vv/ |
〔 ▽ △ ▽ 〕
Σ(; ̄Д ̄)「お、鬼ぃ!?」 |<V ̄V>|
湯船に浸かる南北くんの目の前に、突然、人の背中ほどもある「鬼の顔」が現れ出たのは。
つづく。
さてさて、お待たせしました前回の続き。
謎の易者・水野海常に弟子入りした南北くん。
早速連れられてやって来たのは、海常師匠の住まう貧乏長屋の一室。
くたびれた畳の上には、簡素な経机が一つと、山と積まれた諸々の書籍。
観相学はもちろん、四書五経・仏経典・神学・儒学・朱子学・風水・陰陽・その他国の内外を問わず様々なジャンルの学術書が混沌と入り雑じっていました。
その一冊を手にとってみた南北くん、パラパラと数ページめくってはみたものの。
(; ̄д ̄)「うわ、無理だわこれ。何書いてるのかさーっぱりわけわからん……よく考えたら俺、読み書きなんて学んだことないじゃん」
♀(゚┏ω┓゚ )「ぶわっかもぉーん!」
(# ̄Д ̄)「あいたぁっ! いきなり殴った!? つーかおたまの背ってめっちゃ痛いんだぞ! もしかして血迷いましたかっ! 殿中でござる!」
(゚┏ω┓゚ )「血迷っとるのはそっちじゃ。お主はわしの弟子になったじゃろうが。師匠が弟子の不見識を正すのは当然の勤めじゃ」
(; ̄д ̄)「う……け、けど不見識っつったってさぁ。自慢じゃないけど俺、寺子屋にも行ったことないし、学問なんてからっきしだよ?」
(゚┏ω┓゚ )「その認識こそが不見識じゃと言っておる」
(  ̄д ̄)「はい?」
(゚┏ω┓゚ )「相というものは、いわば『万物の姿』じゃ。観相学とはまさしく、それを観通す智慧と業(わざ)じゃ。実際に千の相、万の相を観て、観て、観抜き倒す実学なしには到底究めることあたわず」
(  ̄д ̄)「実学……実践っすか」
(゚┏ω┓゚ )「さよう。いくら千冊万冊の書を読んだところで、それのみでは地面の上で水泳の練習をするようなものじゃ。何の意味もなさん」
(  ̄д ̄)「で、でも水に入る前に泳ぎ方を知らなきゃ泳げないっしょ? それと同じで書が読めなきゃそのための基礎知識も身につかないんじゃないっすか? だから書って学問には欠かせない大切な――」
(゚┏ω┓゚ )「こんなものは言ってしまえばただの紙束と墨汚れの塊にすぎんわ。ヤギに食わせりゃただのエサじゃ」
(; ̄д ̄)「うわ、世界中の本屋さんに訴えられても知らないよ!?」
(゚┏ω┓゚ )「そういう見方もできる、というだけの話じゃ。もちろん読む者が読めば、書は偉大な師ともなる。じゃが、今大事なのはそこではない」
そして海常、居住まいを正して南北くんを真正面から見据え、厳かに語りだしました。
(゚┏ω┓゚ )「よいか、よく聞け。お主は確かに学はなく書も読めず、顔も悪いかもしれん」
(; ̄д ̄)「顔しつこいなおい」
(゚┏ω┓゚ )「じゃが、お主は極道あがり故に人々の心の機微に聡い。またその過酷な世界で生き延びるために必要な優れた記憶力、判断力、胆力、体力、そして若さもある。それは素晴らしいお主の財産じゃ」
(  ̄Д ̄)「あ……」
(゚┏ω┓゚ )「学と顔には恵まれんかったかもしれん。しかしお主は、はじめから充分に恵まれておったのじゃ。今まで誰にも――お主自身も含めて、それを認め、気付かせてくれる者がおらんかっただけでの」
( TдT)「し、師匠……」
(゚┏ω┓゚ )「瞳潤ませて抱きつくでない暑苦しい。ええいワシの服で鼻水拭くでないわ」
(  ̄д ̄)「ずび……で、でも師匠。それでも書物を読めなきゃ学問にはならないんじゃないっすか? やっぱり基礎知識とかは大事っていうか」
(゚┏ω┓゚ )「そこが不見識じゃと言ったろう。書の価値とは文字にあるのでも紙にあるのでもない。そこに詰まった情報、そして先人の智慧にこそある」
(; ̄д ̄)「だ、だから、それも読めなきゃ意味が……」
(゚┏ω┓゚ )「誰が、『読む』必要があると言った?」
(  ̄д ̄)「は?」
(゚┏ω┓゚ )「お主の目の前におるのは誰じゃ」
(  ̄д ̄)「だ、誰って……師匠ですよね?」
(゚┏ω┓゚ )「そうじゃ。そして、これら数々の書に記された智慧は、どこにあると思う?」
Σ(; ̄д ̄)「どこって……あ、まさか!」
(゚┏ω┓゚ )「ようやく気付いたようじゃの。そう、お主が書を読めぬなら、ワシがお主の書となろう。書が師となるのであれば、逆もまた真なりじゃよ」
(*TДT)「し、師匠ぉぉぉ……」
(゚┏ω┓゚ )「じゃからワシの服で鼻水拭くでないわ。……では、これよりワシが持つ観相の知識全てをお主に授ける! 仔細漏らさず、心して聞くがよいぞ!」
(* ̄Д ̄)「はいっ、し、師匠っ!」
こうして、海常師匠による南北くんへのマンツーマン集中講義が始まりました。
(゚┏ω┓゚ )「先も言うたが、観相とはものの姿を観ることじゃ。顔のみならず、脳天から爪先、体毛一本にいたるまで、はたまた立ち姿歩き姿座り姿、その他全ての動作も含めた、人間そのものの姿を観抜き通すことじゃ。ゆえに観相学とは、人間学とも言ってよい」
(  ̄д ̄)「ほうほう」
海常の言葉は未知の世界を次々に切り開いていく鉈のようで、南北くんは目を輝かせるばかり。
時には身を乗り出したりしながら、文字通り真綿が水を吸うように、持ち前の恐るべき記憶力と集中力で、師匠が根気よく伝えてくれる数々の知識を我が物にしていきました。
(゚┏ω┓゚ )「まず基本姿勢じゃ。ゆったりと呼吸を整え、気海丹田に意識を集中し、五感と思考を遠ざけ……いわゆる瞑想状態じゃの。そうして初めて己の心の鏡に相手の相を写し出すことができる」
(  ̄д ̄)「ふむふむ」
そうして三日三晩、不眠不休で講義は続けられ、
ついに、四日目の朝。
(゚┏ω┓゚ )「うむ。これにてワシの観相の知識は全てお主に与えた! ようやったぞ南北!」
(* ̄Д ̄)「おっしゃー! やったよ師匠! ありがとう師匠!」
(゚┏ω┓゚ )「うむうむ。それでは南北よ、」
(  ̄Д ̄)「はい、師匠!」
(  ̄д ̄)「せーの、」(゚┏ω┓゚ )
ばたん!
Zzz... Zzz...
_●■〓 〓■●_ きゅー……。
……。
一昼夜眠り続け、目が覚めた二人。
その時既に南北くんは、次に自分が行うことを理解していました。
(  ̄д ̄)「師匠……それじゃ俺、旅に出ます」
(゚┏ω┓゚ )「うむ。千人万人の観相を通して、実学としての観相を究めてまいれ」
(  ̄д ̄)「はい、いってきます師匠!」
(゚┏ω┓゚ )「さあ行け、勇者南北! 宇宙の平和を取り戻すのだ!」
(; ̄Д ̄)「いやもうその引きはいいから!」
こうして観相学の第一歩を文字通り踏み出した南北くん。
この旅が、南北くんに数々の出会いをもたらし、彼を稀代の観相師へと鍛え上げてゆくのですが、それはまた後のお話にて。
次回、ナンボククエスト、
第7話「洗い髪を芯まで冷やして小さな石鹸カタカタ言わせたろか」
をお楽しみに。嘘です。
つづく。