常に曖昧に。
たいへんおまたせしもうした。
ひとまずごたくはさておき、前回の続き。
薬種商の若旦那・喜兵衛を弟子に迎えた南北くん。
八助と共に喜兵衛の別宅に移り住んでから、しばらくたったある日の事。
悪相不健康からすっかり快復した喜兵衛(◎∀◎-)は、家族や従業員を連れて花見に出かけていました。
咲き誇る桜の下で宴会モード。
喜兵衛のまだ幼い子供も大はしゃぎ。桜吹雪の中をあちこち駆け回ります。
……他所様の宴会テリトリーにも疾風怒濤で容赦なくブレイクスルーしまくるほどに。
喜兵衛はたまらず追っかけて、首根っこを捕まえました。
(◎∀◎-)「こら、あかんやないか。ほかの花見客に迷惑かかっとるやろ?」
(;>o<)「やだやだやだー! はーなーしーてー! うびぇぇぇぇーん!」
(◎∀◎-)「あかん、どないしよ。手ぇつけられへん……」
花見の解放感にあてられ高揚しているのか、いくらなだめても落ち着きません。
困り果てていたその時でした。
(=゚л゚)「む、これは元気のよろしい童だな」
通りがかった従者連れの侍が、親子の前で足を止めました。
物腰も身なりも、見るからに立派な感じのその侍は、子供好きなのか、じたばたする子を見て鷹揚に笑うと、懐から何やら取り出しました。
(=゚л゚)「はっはっは、よし、拙者はちょうどそこの福引出店で当たったニンテンドー3DSiを持っておる。これを童にあげようではないか」
(*>o<)「わーい、おさむらいさんありがとーっ!」
(◎∀◎-)「なっ、そないなもんホンマによろしいんでっか!? ……つーか、あないな屋台クジのそないな高級品て、単なる客引きで絶対当たらへんと思っとったですがな」
(=゚л゚)「はっはっは、戯れに引いてみたのであるが、当たったものは仕方あるまい。それに拙者が持っておっても無用の長物。こうして童の手に渡るべくして訪れた、天の采配やもしれぬ。お気にめされるな」
(◎∀◎-)「それは……ほんまおおきに。せやかてこのまま何のお礼もせえへんかったら、この小西喜兵衛の名折れでおま。せめて一献、よければとことん桜の宴を共にしてはもらえまへんやろか?」
こうして半ば強引に喜兵衛は、片利先兵衛(かたり・さきべえ)と名乗ったこの侍を花見酒宴に招き、盛大にもてなしました。
数日後。
喜兵衛の店を、先兵衛が従者を連れて訪ねてきました。
先日のもてなしのお礼にと、手には見事な酒肴と菓子折り。
喜んだ喜兵衛は、先兵衛を奥座敷に招き入れ、先日同様心からもてなしの酒宴を開きました。
が、その最中。
主人が宴会に興じる間、店の前で待機していた従者を見つけた、ある男。(´・ω・)
先兵衛が喜兵衛の屋敷にいると知り、店番に話を通して、奥座敷までやってきたのです。
(´・ω・)「あのう、片利様。先日片利様のご主君がご所望とのことで、この古天明平蜘蛛茶釜、三百両の手付金として、百両賜りましたが……」
(=゚л゚)「うむ、確かに百両は払ったが、なんだ言い難そうに。構わぬから早く申せ」
(´・ω・)「はい。それが……業突張りな当店の主人が、他に四百両出してくれる買い手が見つかったから、今日中にお侍様から残り二百両を頂けないのなら、手付金を返してこい、などと言い出しやがりまして……」
恐々と告げる男の手元には、件の茶釜と百両包み。
残金を払って茶器を受け取るか、百両を取って商談を破棄するか、という選択肢の表れです。
しかし、あまりに図々しい申し出に、当然ながら呆れる一同。
(=゚л゚)「……では、今この場でそれがしが百両出そう。残り百両は明日中に用立てる。それで手を打たぬか」
(´・ω・)「個人的にはそうしたいのはやまやまなのですが……ギネス級にドケチアンド強欲で人として最低な当店の主人はそれを許さないでしょう。でなければ、こうして私を使いを出したりはしませんですハイ……」
(=゚л゚)「ぬぅぅぅ……おのれあの鬼畜外道の餓鬼商人め! 一度金額を取り決め手付金まで受け取っておきながら、なんという不埒千万! 我が主君の面目も丸つぶれではないか! 今すぐにでも駆けつけ刀のサビにしてくれるわ!」
怒りのあまり刀を手に飛び出そうとした先兵衛を、喜兵衛は必死で押し留めました。
(◎∀◎-)「ちょ、ちょいとお待ちなはれ! ほならわてが今その残り百両用立てますさかい!」
(=゚л゚)「いやしかし小西殿、そういうわけには参りませぬ」
(◎∀◎-)「いくらご主君はんのため言いなはっても、怒りにかられて刃傷沙汰は良くありまへんがな! それこそ主の名を汚すとは思いまへんかいな!?」
(=゚л゚)「む、むぅ……」
喜兵衛の真摯な説得の甲斐あって、先兵衛はどうにか落ち着きを取り戻しました。
そして渋々ながらも申し出を受け入れ、喜兵衛の提供分と合せた二百両を(´・ω・)に支払い、無事その場で件の茶器を手に入れたのです。
(´・ω・)「まいどー。では私は宴会の邪魔なので速やかに主人の元に帰ります。ホントすみません」
(=゚л゚)「うむ。くれぐれもよろしく伝えてくれ。次このようなことがあれば叩っ斬るとな」
(´・ω・)「はい。あの下衆の頂点に君臨する当店の主人にはそれはもうきっちりばっちり身体に教え込ませるように伝えておきます。それでは……(ささっと退場)」
(◎∀◎-)「……どんな店内関係なんでおまっしゃろかなぁ……」
(=゚л゚)「しかし喜兵衛殿、かたじけない。早速百両借り受けの証文をしたためねば」
(◎∀◎-)「あー、それにはおよびまへん」
(=゚л゚)「む? なにゆえにそのような」
(◎∀◎-)「ご主君の名誉を守らんとする片利様の心意気、この小西喜兵衛えらい感服でおます。そんな忠義のお武家はんから証文いただくやなんて、武士道ならぬ商人道に背きまんがな。せやから必要おまへんっ」
(=゚л゚)「む、むぅ……何から何まで、本当にかたじけない。だがそれではさすがにそれがしの面目も立たん。せめて証文代わりに、用立て分の百両を持参するまで、この平蜘蛛茶釜を預かってはもらえぬか。拙者のような粗忽者の手にあるより、一流の商人である喜兵衛殿の手元にある方が、むしろ安心できるゆえ」
(◎∀◎-)「……まあそこまでおっしゃるなら、そうしまひょか。責任もって大切に保管させていただきますわ」
(=゚л゚)「何から何まで、本当にかたじけない。この恩、決して忘れはせぬぞ」
(◎∀◎-)「まあまあ、これ以上かたい事は言いっこなしでんがな~、ささ、飲みなおしといきましょか~」
こうして、酔いどれ喜兵衛と先兵衛は気分も上々、杯を酌み交わしました。
やがて宴が終わり、店を後にした先兵衛と入れ替わるように、南北くんと八助が喜兵衛を訪ねてきました。
(◎∀◎-)「やー先生に八助はん、本日はお日柄もよくー」
(  ̄д ̄)「いきなり何スピーチ始めてんのさ? 喜兵衛さん、酔ってるね。ところでさっき店から出てった侍は?」
(◎∀◎-)「それがでんな、実はかくかくしかじかで、さっきまで宴会しとりまして」
上機嫌の喜兵衛。
しかし南北くん、先兵衛とすれ違ったときに見た「相」に、何かを感じ取っていました。
(  ̄д ̄)「そっか……でも百両なんて大金、酒のせいかもしんないけど、早まったかもしれないよ?」
(◎∀◎-)「わはっはー、いくら先生の仰ることでも、そんなはずありまへんがな。片利様は忠義溢れた武士の鑑、こうして担保代わりに、このご主君のための古天明平蜘蛛とかいう茶釜をワイに預けてくだはったくらいで――」
(=_=`)「古天明平蜘蛛……? そんなはずはないでござる」
(  ̄д ̄)(-◎∀◎)「??」
(=_=`)「かの茶器は、戦国時代に乱世の梟雄と呼ばれた松永久秀が愛蔵した名器でござるが、久秀が織田信長に攻められ自害した際、共に爆散したと伝わってござる」
(◎∀◎-)「は……? ほ、ほならつまり……」
(  ̄д ̄)「つまり、現存してるはずがない、ってことか?」
(=_=`)「左様でござる。現存しているはずはござらぬし、もししていても、かような経緯から三四百両程度の値で済むとは到底思えない超レアアイテムでござる」
普段寡黙な八助の、博学なツッコミに血の気の引いた喜兵衛。
一気に酔いはさめ、急いで鑑定家に見てもらいました。
……鑑定の結果。
(゚┏ω┓゚ )「いい仕事してますねぇ~、なーんて言う訳ないじゃろこんなガラクタに」
、二百両どころか、ダ●ソーでも買えそうな二束三文の安茶釜。
そう、贋物だったのです。
つづく。
次回、ナンボククエスト第十四話、
「喜兵衛絶体絶命(中略)後編」をお楽しみに。
嘘でもなんでもなく長いから前後編になっちった。
(  ̄д ̄)「ってかなんで師匠が鑑定してんのさ」
(゚┏ω┓゚ )「たまには出番くらいあってもええじゃろが」