・オリジナル小説 『うたいしこと。』
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常に曖昧に。
<私の、あるいは我が子のその病を根本から癒したいのなら、
まず本当に踏み出すべき第一歩は、
『その病が治らなければ、私は、あるいは我が子は幸せではない』
という、無自覚に握り締めている誤った観念を、手放すことだ。>
人間としてできること、味わえることが、仮に1000あるとします。
病によって、それが990に減っているかもしれない。
欠けてしまっている10を、人はしばしば嘆き、ぼやき、
10欠けているから不幸なのだと、その欠け分を取り戻そうと苦悶します。
だけど、それは、
『できることが990も残っている』
ということでもあります。
確かにできないことが10ある。
けれど、残った990へと心から目を向けさえすれば、
病であっても充分な幸せに恵まれていると、気付けるものです。
いいや、私の場合はできることが800、いやいやこの子は600なんだ、というかもしれない。
でも、それでも800、600もできることがあるんです。
手足が動く。
だから字も書けるし、歩きもできる。
五感が利く。
だからテレビも視聴できるし、花の香りも嗅げる。
そして何より、体がある。
だから、いずれ必ず去り逝くにもかかわらず、まだこの世の生を受けていられる。
それらも、990、800、ないし600の中の、立派な1です。
欠けている部分ばかりを主張していると、
今ある幸せを、見ているようで全く見ていない状態へといつの間にか陥ってしまいます。
今あるものに目を向け続ければ、今あるものが増えていく。
今ないものに目を向け続ければ、今ないものが増えていく。
病というものは、そういった『価値ある法則』に気付いてもらうために、
天が与えてくれるプレゼントなのかもしれません。