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触れ続けてきたもの

 あなたの手を、宙に差し伸べてごらん。

 その手は、何かに触れているかな?



 何も触れていない、そう思うでしょう。

 でも、そんなことはありえないんだよ。



 だってあなたの体、その皮膚の全ては、

 常に必ず、何かに触れ続けているから。



 空気に、水に、服に、タオルに、靴底に、

 一瞬たりとも、何かに触れていない時はないんだ。

 でも、あまりに当たり前すぎて、見落としてきたよね。



 もし気が向いたら、試してごらん。

 これは空気だ、これは水だ、これは服の裏地だ、

 そんな風に「判定」しないで、「判別」しないで、

 「頭」で、「名前」や「言葉」で、「理解」しようとしないで、

 ただ、ただ、「肌」で、「感触」してみてごらん。



 その「名前のない感触」を見つけ出せたとき、

 「名前をつける前の、あるがままの感触」を思い出せたとき、



 それが、本当のリアリティーへの、

 本当のこの世界への、入り口になるんだよ。




 もし、その扉を開けてみたいなら。


 あなたの手を、宙に差し伸べてごらん。

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