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このきなんのき

 かつて、我慢によって自分という木を枯らした。
 幹を縛りつけ、枝葉を全て覆い隠し、
 天と地の滋養を拒んで、痛めつけ続け、
 そうやって枯らし、殺した。

 次に、我慢をしないことによって、新たな自分は芽吹いた。
 嘘のように流れ込む栄養と恵みに驚きと感謝を捧げながら、
 枝葉をとにかくただ、茂るに任せるがまま茂らせてきた。

 省みれば、その生命力に酔いしれるあまり、
 萌えるばかりの枝葉を剪定することを、
 心の奥底で邪道と見ていた部分があったように思う。

 これからは、その枝葉を整えていこう。
 整えたい枝葉は、何構わず剪定していこう。
 我慢することを自分に許そう。

 両極を知った今ならできるはず。
 我慢という枠も超えた、第三の道にだっていけるはず。



<子路曰く「南山に竹あり、揉めずして自ら直く、斬りてこれを用ふれば犀革に達す。これを以てこれを言へば、何の学ぶことかこれ有らん」
(※南山の竹は矯正せずとも真っ直ぐで、切って使えば厚い犀革も貫くという。天から才能を与えられた者は、何も学ぶ必要などないのでは?)

 孔子曰く「括してこれに羽をつけ、鏃してこれを礪かば、その入ること亦深からずや」
(※その南山の竹に矢羽をつけ、鏃をつけて磨けば、犀革を貫く程度ではすむまい?)>

 「孔子家語」より。

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