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雪で融けた

 ただ感じろ。
 感じているものを楽しみ、感じること自体を楽しめ。
 指先に水が触れている事を楽しめ。足が床に触れている事を楽しめ。
 風が頬に当たる事を楽しめ。空気がある事を楽しめ。


 結果を目的とするのではなく、その行為そのものを楽しめ。
 どこかに向うために歩く以前に、歩くこと自体を楽しめ。
 悩むのなら悩むこと自体を楽しめ。あるいは悩みを解消する道筋を探る事を楽しめ。
 思考が止まぬなら思考が止まぬ事を楽しめ。あるいはどのように思考が落ち着いていくのかを楽しめ。

 なんでもいい。
 ただ、今この瞬間を感じ、今この瞬間を楽しめ。


 ……とっくに知っていたはずなのに、なぜか忘れていたそんなこと。
 でも、その「なぜか」の理由は、本当はわかってる。

 それは、「思い出すため」。

 思い出すことで、更に深く刻み込むため。



 この数日間、実は思考の激しい働きが収まらず、
 さらに自分でもどうしたものか、超基本的なことを忘れてそれを押さえつけようとしてしまい、
 当然ながら抑えきれず、瞑想状態に入ろうにも上手くいかないまま、気分的に悶々とする時間が多かった。


 だけど今日。
 歩きながら、ふっと雪がひとひら、目の前に舞い降りた瞬間、
 全身からストンと力が抜けるような感覚と同時に、どうしようもなく微笑みが溢れ出てきた。


 たった一粒、雪が降った。
 それだけが、訳も無く嬉しかった。
 それだけで、凝り固まっていた心が融けていった。

 
 そうして苦しみが晴れた途端、様々な方面、様々な方々から、様々な智慧や示唆やシンクロが怒涛のように流れ込んできた。
 全てが的確に。

 確かに、どこか奥底で気付いてた。
 この苦しみも、ただこの気付きための準備期間に過ぎなかったのだと。

 
 名指しにしていいものか本当は迷いましたが、やっぱり敢えて名指しにすると、
 阿部さんやユウさんやponsunさんにも、今回そんな示唆やシンクロをそれぞれもたらしていただきました。
 この場を借りて御礼申しあげます。ありがとうございます。

 ありがとうございます。



<将(まさ)にこれを歙(ちぢ)めんと欲すれば、必ず固(しばら)くこれを張れ。
 将にこれを弱めんと欲すれば、必ず固くこれを強くせよ。>
   老子道徳経より。

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